インタビュー

珈琲焙煎処 縁の木がなぜ蔵前で、豆選びに妥協しないロースタリーを開いたか

珈琲焙煎処 縁の木がなぜ蔵前で、豆選びに妥協しないロースタリーを開いたか

東京・蔵前の珈琲焙煎処 縁の木さんを訪ねました。駅出口から歩いて10秒で着いてしまう小さなお店はコーヒーの焙煎だけでなく、コーヒーの周辺で出るごみを減らす試みなどにも挑戦しています。

また、ハンディキャップのある方と仕事をシェアする取り組みを行ううち、さまざまな人・企業が賛同して大きなプロジェクトも手がけるように。

コーヒーのことをはじめ、いろんなお話をお聞きしました。

この記事を書いた人

sk

S.K

編集部ライター

ここ数年、朝のソイラテから一日が始まります。
そして朝ドラを見ながらブラックを1杯、仕事中は1〜2杯。
夜になるとコーヒー豆乳焼酎を一献というのが日々のコーヒールーティンです。

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珈琲焙煎処 縁の木は蔵前駅前の小さなロースタリー。コーヒーも買えます

珈琲焙煎処 縁の木

都営浅草線蔵前駅A1出口から、徒歩10秒という便利なロケーションにある珈琲焙煎処 縁の木。

店先の看板に、お店の名前が漢字で書いてあります。縁の木だからか「みどりのき」と覚えてくれているお客さんも多いそうですが、正しくは「えんのき」です。

小さな入口から店内へ入ると、コーヒーの麻袋や販売用コーヒー、お菓子などの向こうに焙煎をしている人が見えます。

「コーヒー買えますか」と聞くと「はい!いらっしゃいませ!!」と元気な声が返ってきます。

店内では、ていねいにハンドピックしたコーヒー豆を、日本に数台しかないというスマートロースターで焙煎。

販売スペースに何種類かのコーヒー豆とドリップバッグ、お菓子が置かれています。

紅茶が好きなんですよ私、という店主の白羽玲子さんがなぜコーヒーの焙煎所を作ったか

自宅から数百メートル離れたお店へ、ママチャリで颯爽と登場する彼女は蔵前界隈では有名な人。歩いているといろいろ声をかけられて、目的地へ着くのに時間がかかることもよくあるそうです。

印刷所と出版社で営業職に就いたあと、焙煎所をオープンしたという白羽さん。

幼稚園から高校までいっしょに学んだという上田眞紀さんと珈琲焙煎処 縁の木を始め、今では数人のスタッフも加わりお店を運営しています。

▼上田さんは主に焙煎を担当

コーヒーの仕事を始めたきっかけは次男の障がい

縁の木

白羽さんには二人の息子さんがいます。そのうち次男に知的障がいを伴う自閉症があり、そのことが彼女をコーヒーの仕事に導いたといいます。

障がいを持つ子の親は忙しく、フルタイム勤務は無理と判断し勤めていた会社を退職。

これから何をしようと思ったとき「私が死んでも、この子が食べていける仕事を作ろう」と考えたそうです。

知的障がいの人の特性を生かした仕事を考えるうち、自身がいつも好きで飲んでいた紅茶の栽培ができないかとまず思いついたといいます。

しかし実際、紅茶づくりの現場を見せてもらったときに広い土地と自然が必要なことが分かり、別の仕事を模索することに。

その後しばらく試行錯誤を経て、コーヒーの仕事にたどり着いたそうです。

毎週450袋のドリップバッグ制作を、3つの福祉作業所に依頼

珈琲焙煎処 縁の木で販売しているコーヒーのひとつに「一期一会の国別農園別の気まぐれドリップパック」という商品があります。

近隣の3つの福祉作業所にコーヒー粉とドリップバッグキットを預けて、ドリップバッグを作る作業をしてもらっているそうです。

生産国やロースト具合、風味などのバリエーションが幅広いドリップバッグは毎週450袋発注して準備しても、店頭や通販ですぐ売り切れてしまうそう。

お店を訪ねて、まだ残っていたらラッキーかも。

珈琲焙煎処 縁の木にはどんなコーヒーがあるの

どんなコーヒーを取り扱っているのか聞いてみたところ、店主の白羽さんはこう言います。

「うちはいわゆるスペシャリティコーヒーと呼ばれるものは、ほとんど置いていません 。

フェアトレードや有機栽培、無農薬栽培で適正に育ったコーヒーをお届けするために認証機関のお墨付きより、コーヒーに関わる“人”とのつながりを大事にしているから。

おいしいことと生産者への支援になること、そしてコーヒーが育つ地域の土を荒らさないことを現地で、きちんと目で見ている方からのみ仕入れます」と。

徹底して選び抜かれた珈琲焙煎処 縁の木のコーヒー。

こうした考えをもつお店へ足を運ぶことは、おいしいコーヒーを手に入れるだけでなくコーヒーの未来を明るくすることにもつながるでしょう。

小さな焙煎機で少しずつ焙煎を行うから、いつも新鮮

珈琲焙煎処 縁の木の焙煎機は小型で、一度にローストできるコーヒー豆の量は400gと少量です。

焙煎機をヘビーユースしているからか、お店から少し離れた場所でもロースト香が。

少量ずつ焙煎・販売するため、いつも新鮮な豆が手に入ります。

「豆によっては予約していただいてから取りに来てもらうと、焙煎したてをお渡しできますよ」とのことです。

縁の木ブレンドと季節のブレンド

いいコーヒー豆を良心的な価格で販売したいという珈琲焙煎処 縁の木で、よく選ばれているのは縁の木ブレンドと季節のブレンドの2種類です。

縁の木ブレンドは香りが良くクセのないメキシコ産の豆をベースに、バランスのとれたブラジル産の豆をブレンドしたもの。

焙煎の指定をしなければ中煎りですが、軽めのローストで酸味を際立たせたり、より深く煎って苦味とコクを深めるのが好きな常連客もいるんだとか。

200gで1,100円と値段もお手ごろです(焙煎前の重量。焙煎後はおよそ170~180g)。

そして季節のブレンドは春、夏、秋、冬の4種類で、いま手に入るのは冬ブレンド。コロンビア産とケニア産の豆を中心にブレンドした深煎りのコーヒーです。

▼その場で焙煎して、袋詰めしてもらいました

縁の木ブレンド

シングルオリジンも

珈琲焙煎処 縁の木では二十数種類、シングルオリジンを販売しています。環境に負荷をかけずに、おいしいコーヒーを作っていることがわかる農園や売り手から仕入れるそうです。

シングルオリジンは時期によって置いているものが異なります。いま、お店に置いているコーヒー豆については公式サイト内ページ「縁の木のとっておきの豆をご紹介します」でご確認ください。

https://en-no-ki.com/mamenohanasi/

カフェインレスをお探しのコーヒー好き必見「デカフェコロンビア」

デカフェコロンビア
https://ennoki.thebase.in/items/20947133

コーヒーは好きだけど夜飲むと眠れない方や、コーヒー好きの妊婦さんにプレゼントをとお考えの方にぴったりなデカフェコロンビア。

コロンビア産の豆をドイツでカフェイン除去したコーヒーです。

ヨーロッパの厳格なカフェイン規格に沿っており、カフェイン残留率0.1%未満を保証された生豆。二酸化炭素を使用した安全なカフェイン除去法で作られています。

正真正銘のデカフェながら、コーヒーのおいしい風味はしっかり。価格が抑えめなのも嬉しいところです。

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お店では人と人とがつながり、コーヒーから新しいビジネスや取り組みが。まさに「縁の木」

珈琲焙煎処 縁の木はコーヒー焙煎のほか、さまざまな仕事や試みを行っています。

自分の亡きあとも障がいをもつ我が子が困らない仕事を、という一人のお母さんの思いはたくさんの人に伝わり、多くのアイデアが生まれ形になりました。

全国の福祉作業所と協力

珈琲焙煎処 縁の木では福祉作業所と協力し、コーヒーを用いてさまざまな取り組みを展開中です。

最近では欠点豆を使ったコースターや、コーヒーの麻袋をリメイクしたバッグを制作・販売しています。

土に埋めれば微生物によって全て分解される完全生分解(かんぜんせいぶんかい)の紙器作りや、地元の学校給食と連携した堆肥作りなどもしているそうです。

ほか、全国の障がい者施設からお菓子や雑貨などを取り寄せてお店やオンラインで販売し、福祉作業所の収益の一部にする活動も実施。

販売するお菓子や雑貨は味とデザインに定評があり、贈る人を選ばず喜ばれるものが揃っています。

2021年には台東区三筋にオープンした姉妹店のZEROラボ(https://zerolabo.base.shop/)と協力し、ハンディキャップのある方の施設外就労訓練受け入れや仕事の創出もスタートしました。

蔵前から世界へ伝わる「KURAMAEモデル」

KURAMAEモデル

コーヒー焙煎所が抱える問題のひとつに、廃棄豆の多さがあります。

捨ててしまう豆をどうにかして再生できないかと珈琲焙煎処 縁の木が中心となり、アサヒグループホールディングスを巻き込んでクラフトビール「蔵前BLACK」を作りました。

その後、アサヒグループホールディングスから「パンの耳を使ったWHITEビールも作りたい」と相談がきて、地元のパン屋さんと蔵前WHITEというクラフトビールも完成。

現在、KURAMAEモデルの取り組みは蔵前から全国へ派生しようとしています。

大企業などの応援を得つつ福祉作業所と連携し、次々と新たな試みにチャレンジしています。

KURAMAEモデル:https://kuramae-model.org/

蔵前は遠い!という方は、珈琲焙煎処 縁の木のオンラインショップへ

珈琲焙煎処 縁の木のオンラインショップ

珈琲焙煎処 縁の木のお店で取り扱っているコーヒーは、オンラインショップでも購入できます。

コーヒーのほかお菓子や雑貨、コーヒー周りの器具も豊富です。

各種ギフトも幅広く揃います。コーヒーと全国の福祉事業所が焼いたクッキーのギフトに、蔵前の地ビールが加わったセットなどは珈琲焙煎処 縁の木ならでは。

お店まで足を伸ばすのは難しい、というコーヒーファンの皆さんはオンラインショップをのぞいてみてはいかがでしょうか。

▼縁の木オンラインショップ

https://ennoki.thebase.in/

珈琲焙煎処 縁の木の詳細情報

店舗名珈琲焙煎処 縁の木
住所東京都台東区蔵前2-3-1
電話番号050-3701-1178
営業時間12時から17時まで焙煎、店舗引取りは11時半~18時
定休日水曜、日曜、月曜、祝日
駐車場なし
Official Sitehttps://en-no-ki.com/
公式SNSInstagram Facebook

※本記事は2022年12月時点の情報です。掲載情報は現状と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。

※新型コロナウイルスをはじめとした感染症などの拡大防止のため、掲載情報に変更が生じることがあります。最新の情報は直接、お店へお問い合わせください。

※お店を訪問される際はマスク着用と手洗い、手指の消毒などを心がけ、感染拡大防止にご配慮いただきますようお願いします。

※文中の写真には撮影のため、お店の方にマスクを取っていただいているものがあります。

この記事を書いた人

sk

S.K

編集部ライター

家で飲むコーヒーは基本ノンカフェインの決まった銘柄ですが、加入している生協に知らないコーヒーが出ていれば買うことも。
喫茶店やレストランでは、ガツンとカフェインの効いたのが嬉しいです。
出張や旅行などで遠方に行くと水が違うからか、何気なく立ち寄った店で飲んだコーヒーが思い出に残ることも少なくありません。

-インタビュー
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