大自然の中、自分で淹れたこだわりのコーヒーを飲む。これこそがキャンプの醍醐味。
すでに美味しさや多幸感は約束されている気はするが、自分で豆を選びこだわりの焙煎をしたコーヒーならどうなってしまうのだろう。
キャンプの醍醐味やらこだわりの焙煎がどうとか冒頭から偉そうに語っていますが、筆者はキャンプも焙煎も初心者。
結論から言ってしまうと、そんなズブの素人である私でも美味しいコーヒーを焙煎することに成功しました。
"コーヒーの焙煎はハードルが高い!"と考えている人にも、本記事を読んで、是非初めての焙煎に挑戦していただきたいです。
ハプニングだらけの筆者の初めての焙煎。肩の力を抜き、温かい目で読んでいただけますと幸いです。
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もくじ
やってきた秋川渓谷リバーティオ
夏のキャンプはキャンプ場選びが肝心。
楽しいキャンプとはいえ、やはり暑さは天敵。熱中症にも気を付けなくてはなりません。
設備の充実具合には特に重点を置き、今回は日帰りメンバーもいるため、都心からのアクセスにもこだわりました。
今回そんな条件から選んだ秋川渓谷リバーティオ。
▼コテージ外観
コテージの定員は1棟8名まで。
中は広々!大人数でも大荷物でも安心!
屋内全体に木の香りがほのかに漂ってリラックス効果もありそう!
階段を登れば、2階にはみんなで横になれるゆったりスペース!2階にもエアコンがあるのが嬉しい!
もちろん窓の外は大自然。渓流が見下ろせます。
暑さからの避難場所・宿泊場所は見ていただければわかるように完璧です。
というわけで川辺へGO。
コテージからの引きの写真でもわかるかと思いますが、水がとてもキレイ!
今回は時間の関係で断念しましたが、川では渓流釣りも楽しめます。
アユ、あんま、マス、やまめ、オイカワなどたくさんの魚が釣れるそう。
竹竿のレンタルやエサの販売も行っているので、準備なしでも気軽に魚釣りが楽しめますね。
▼大自然を感じずにはいられない
渓流で涼んだらみんなで記念撮影!キャンプ開幕です!
今回用意したもの
事前に準備したものは、コーヒー生豆、手網、ザルの3点。
と、持参していながらうっかり撮影時に加え忘れましたが、手網を持つために軍手のようなものも必要です。
手持ち部分が金属の手網を素手で持つのは危険というかとても無理なので、忘れずに準備していただきたい。
自宅などで行う場合には、他にコンロや冷却用のドライヤーなんてものも必要ですが、何せ今回はキャンプ。
バーベキューで使う火もあれば、コテージのすぐ側には渓流が流れているため涼もとれます。
キャンプって最高ですね。
そもそもコーヒー豆の焙煎とは
焙煎を始める前に、そもそも焙煎とは何たるかを簡単に解説しておきましょう。
コーヒー豆の色と言えば茶色や黒色のものを想像する人が大多数かと思いますが、これは焙煎の工程を経て変化した後の色です。
生豆と呼ばれる焙煎前のコーヒー豆は薄い緑色。
生豆の状態でもまったく飲めないわけではなく、グリーンコーヒーとして一部で楽しまれていますが、あまり一般的ではありません。
グリーンコーヒーは、良く言えば抹茶やハーブティーのような味わいだそうですが、従来のコーヒーとはまったくの別モノ。
この生の状態の豆を私達のよく知っている美味しいコーヒー豆に仕上げる工程が焙煎なのです。
専用の機械である焙煎機を使って焙煎を行うのが一般的ですが、よりディープにコーヒーを楽しみたい人など、自家焙煎をする人も年々増えているようですね。
[関連]【専門家監修】コーヒー豆の自家焙煎を解説!自宅で始めるロースター器具の使い方
コーヒー豆の焙煎度合いについて
焙煎度合いについては超簡単に触れる程度にしておきますが、コーヒー豆に熱を通す焙煎作業の度合い(レベル)です。
浅煎り・中煎り・深煎りの3段階で表されることも多くありますが、上記はそれをより詳細に分類したもの。
熱を加えていくほど、コーヒー豆の色はより濃くなり、苦みの強い味わいになります。
[関連]【専門家監修】コーヒー豆の焙煎度合い(ロースト)は何段階ある?味と特徴を解説
各焙煎度合いの煎り止めについて
ライトロースト | 1ハゼ手前で煎り止め |
シナモンロースト | 1ハゼ中間で煎り止め |
ミディアムロースト | 1ハゼ終了時点で煎り止め |
ハイロースト/シティロースト | 1ハゼ終わりから2ハゼ始まりまでの間で煎り止め |
フルシティロースト | 2ハゼ終了時点で煎り止め |
フレンチロースト | 2ハゼ終了後も加熱を続け、黒味の強い茶色で煎り止め |
イタリアンロースト | 真っ黒になるまで煎り続ける |
それぞれの焙煎度合いに対して、煎り止め(焙煎を止めるポイント)の目安をまとめました。
表に登場するハゼ(爆ぜ)というのは、焙煎を進めることで発生する化学反応の1つ。
焙煎が進むと、加熱による圧力の上昇で内圧に耐えきれなくなり、コーヒー豆はパチパチという音を鳴らし破裂します。
この破裂音が鳴る1回目のポイントを1ハゼ、2回目のタイミングを2ハゼと覚えていただければ問題ないでしょう。
いざコーヒー豆の焙煎作業開始!
そんなこんなで焙煎を始めていきます。
今回準備した生豆は、苦みが最大の特徴であるインドネシアのマンデリンG-1。
こちらの豆を選んだ理由は、たった1つ。
「深煎りのマンデリン以外飲んだことがないから。」
浅煎りに焙煎したマンデリンを飲んでみたいという好奇心からこの物語は始まりました。
[関連]【専門家監修】マンデリンコーヒーの特徴や味わいと等級や歴史、美味しい淹れ方・飲み方を解説!
ザルに移した生豆から、欠点豆をハンドピックしていく
コーヒー豆の味に悪影響を及ぼす不完全な豆”欠点豆”を取り除くハンドピック。
何となく理解していたつもりの欠点豆も、実際にハンドピックをしてみると想像以上に難しい。
今回は時間効率と最終的な美味しさの追求を優先し、”迷ったら除外”という案を採用したため、取り除いた豆は少し多めです。
[関連]【専門家監修】コーヒーの欠点豆とは?種類や取り除くポイントについて解説
▼焙煎する豆の計量
スケールの重量表示が完全に隠れていますが、150gを焙煎するべく大量の豆を手網にINしていく!
「絶対無理だからやめた方がいいよ。」
ここで編集部唯一の焙煎経験者であるsora氏から助言が入ります。
▼焼きそばを食べるsora氏 with マツ氏。
これは焙煎の過程で、豆に焼きムラが出ないよう手網を細かく振り続けるためです。
手網に豆が入りすぎていると、振っても手網内で豆が自由に動かず、一部の豆にばかり熱が通ってしまう事態が発生します。
大量生産に気を取られるあまりに初歩ミスを犯すところでした。
ここは素直に計画を変更し、100gを焙煎することに。
焚き火で焙煎!目指すはフルシティロースト!
最初の焙煎では王道の深煎りマンデリンに仕上げたいので、2ハゼ終了時点まで熱を通していきます。
焙煎中は手網に冷気が入らないようにするのが肝心で、フタを開けたり、振りを止めたりするのはご法度。
噂に聞いてはいましたが、これはなかなかの重労働です。
▼フタ越しでもわかるほど豆の色が変化している!さらには焙煎担当も変化(交代)
そんな些細なことにも感動を覚えますが、フルシティローストへの道のりはまだ始まったばかり。
うだるような暑さの中、手網を一心不乱に振り続けます。
a few minutes later..
▼とんでもない焼きムラのマンデリンが爆誕。
色鮮やかなコントラストが美しいコーヒー豆ですが、これは絵に描いたような失敗です。
原因は明らかな豆の入れすぎ。
100gに減らしたものの、焙煎開始してすぐに手網内に十分な余白がないことに気付きました。
さらには焙煎をすることで、豆に含まれる水分が蒸発し、その際の水蒸気の膨張力で体積が増加するようです。
焙煎前と比較すると、その比率は1.5倍程度とのこと。
火にかける前に手網のフタをして振ってみて、網の中に豆を回せる十分な空間があるか確認するのが良さそうです。
▼焙煎した豆は風通しの良いポイントで冷却
豆全体に風が当たるように均していきます。まだまだ豆は熱いので軍手は必須。
焙煎が終わったらコーヒー豆をすぐに風通しの良いポイントに移動させましょう。
これは冷却をしないと予熱でさらに焙煎が進んでしまうため。
冷却後は口の開いた紙袋などに入れ24~48時間かけてガス抜きし、その後は空気に触れないよう密閉容器に移して保存します。
見事なまでに失敗した豆であろうと必要な工程は省きません。
いや、そもそも飲んでみるまで失敗かどうかはわからない。
すぐに答えを教えてくれないミステリアスなコーヒー。底の見えない深い魅力を持っています。
気を取り直して2回戦へ!目指すはミディアムロースト!
失敗は経験というかけがえの財産を与えてくれる。
私たちは初回の失敗を学びに、焙煎する豆の量を50gに減らしました。
これなら焼きムラなくミディアムローストに仕上げることができると確信し、あとは1ハゼ終わりまで手網を振り続けるだけです。
▼職人の風格すら感じるnari氏。
職人がこだわりの焙煎を続けること十数分。
パチパチと爆ぜる音が辺りに響き渡り、本日2度目の焙煎が完了です。
フタを開ければ、今回こそ焼きムラのないコーヒー豆がお目見えするはず。
▼注目の開封式のご様子
見事なまでの黒色。
焼きムラ以前に、ミディアムローストとは思えないこの豆の色はどういうことですか?
…我々は確かにミディアムローストを目指していました。
焙煎開始から15分になろうかという頃、衝撃の質問が放たれます。
「まだ1ハゼしてないんだけど大丈夫?」
そんなことあるのかとも思うのですが、確かにハゼの音を耳にしたメンバーは一人もいません。
みんな暑さで頭が空っぽだったのかもしれません。
焙煎経験に乏しい私たちは、愚直に手網を振り続けてハゼを待つ選択をしました。
焙煎開始から20分を過ぎた頃、待ちに待ったハゼが始まります。
時間を考えても、全員がこれは確実に2ハゼだと確信していたはずですが、もちろん口にする者は誰もいませんでした。
▼何はともあれ、美味しそうな深煎りマンデリンができました
本当はすぐにでもドリップして飲みたいところですが、焙煎後のコーヒー豆は十分にガス抜きをしないと抽出が安定しません。
風味が安定してくる3日後くらいからが飲み頃になりますよ。
まとめ
ここからは後日談。
結果として出来上がったのは、焼きムラだらけの豆と、計画とは異なる焙煎度合いの豆の2種類。
どんなものかと期待はせずにハンドドリップでいただいたのですが、正直想像した以上の出来栄えでした。
▼深煎り豆はコーヒーオイルでテリテリ。見た目から美味しそう!
私の知っているマンデリンの味にしっかり仕上がっている。
炭火ならではの香ばしい風味もまとっていて、しっかりと美味しいコーヒーでした。
フレンチローストについては大成功といって良いのではないでしょうか。
続けてフルシティローストも飲んでみることに。
▼複数の豆を焼き分けてブレンドしたかのような見事な焼きムラ
これも思ったより悪くない。むしろ美味しいと言っても良いレベル。
購入した生豆の持つポテンシャルもあるかもしれませんが、途中何もかもがグダグダになったにも関わらず及第点と呼べる味わいに達していたことは、素直に次回焙煎へのモチベーションになりました。
初めての焙煎が成功と呼べるものだったかは微妙なところ。何なら失敗と言われてもおかしくない内容です。
しかし、個人としては焙煎の面白さ、焙煎のハードルが意外にも高くなかったことなど色々な発見がありました。
焙煎に興味を持っている人は、是非1度チャレンジしてみることをお勧めします。
コーヒーはあくまで嗜好品であり、誰かの失敗が自分にとっての失敗になるとは限りません。
何をやっても成功しかないと考えれば、俄然パワーが湧いてきそうな気がしませんか。
焙煎という新たな扉を開くことによって、コーヒーへの愛や探究心が一段と深まるかもしれないですね。
この記事を書いた人
編集部ライター
365日欠かさずコーヒーを飲んで過ごす編集部ライター。幼少から叔母の経営する喫茶店でよくコーヒーを飲んでいた。30歳を目前にしてようやくブラックコーヒーに目覚める。主に集中したいときにコーヒーを飲むが、休日に頭を空っぽにして飲むコーヒーこそ至高と考えている。