新宿の思い出横丁で1964年からコーヒーを提供し続ける但馬屋珈琲店。コーヒーや軽食、スイーツを楽しみながら憩える場所として愛されてきました。
新宿から吉祥寺、そして池袋と、伝統の味と香りを楽しめる場を増やしています。
なぜ、長きに渡って愛されるのか。そして今後の展望は?
半世紀以上続く珈琲店の良さを大事にしつつ、将来を見据えて積極的な事業展開をする喫茶店を取材しました。
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もくじ
新宿で、戦後の闇市から現在まで70年あまり
発展を続ける新宿駅界隈で、他とは異なる雰囲気を放つ一角。思い出横丁と呼ばれるそのエリアは、戦後の闇市に端を発するといいます。
但馬屋珈琲店は、その歴史ある横丁の片隅に佇む喫茶店です。
築70年ほどと思われる古い建物のなかには都会の喧騒を忘れて、ひとときの安らぎを与えてくれる空間が広がっています。
焼け跡で始めた洋品店が発祥
▼前身となった洋品店
出典:https://tajimaya-coffeeten.com/
創業者の故・倉田数雄さんがここで洋品店を始めたのは1945年11月。終戦から3ヶ月後、旅行かばんや雑貨の卸および小売店としてスタートしたといいます。
その約20年後、東京オリンピックの年に純喫茶を開店し、珈琲店として歩み始めました。
但馬屋珈琲店の名になったのはその約四半世紀後。自家焙煎「但馬屋珈琲店」として現在は本店のほか、都内に4店舗を展開しています。
家族で営む喫茶店
▼創業者の故・倉田数雄さん(左)
出典:https://tajimaya-coffeeten.com/
創業者の倉田数雄さんが始めたお店は子どもたちに引き継がれ、現在はお孫さんの倉田光敏さんを中心に運営しています。
光敏さんは食品メーカーで7年勤務したあと、この但馬屋珈琲店に入社。
曰く「祖父が退いたあとは、私の父親と叔父が中心となって会社を切り盛りしていました。いまは二人に教えを乞いつつ、姉と私が引き継ごうとしているところです」。
光敏さんはお店の管理やコーヒーの卸を。お姉さんはオンラインショップや経理を主に担当しているとのこと。
「母や妻、そして創業時から働いてくれている家族のようなベテランスタッフらの尽力があり、ここまで続けてこれました」とも。
創業者から子、そして孫へと受け継がれた家族経営のお店。70年の歴史を経て店を守りつつ、新しい形で進化を続けています。
大正・昭和を思わせるレトロモダンな店で、自家焙煎のネルドリップコーヒーを
但馬屋珈琲店の強みは、その歴史が作り出したクラシカルな雰囲気のお店と、長年の経験が編み出した自家焙煎のブレンドコーヒーにあります。
レトロ感のある店やコーヒーのおいしい店は少なくないけれど、両方を兼ね備えようとすれば長年、実直にコーヒーを淹れ続けてきたお店に限られるでしょう。
経年によって飴色になった壁や天井を眺めながら、プロが淹れたおいしいコーヒーを楽しむ。
但馬屋珈琲店はそんな、貴重なお店です。
季節に合わせて調度品をマイナーチェンジ
たくさんの調度品で溢れている店内。社長らが骨董品好きで、骨董市を巡っては店に飾る雑貨を集めてきていたからといいます。
カウンターの背の棚に並ぶコーヒーカップも、店内インテリアのひとつ。
コーヒーを淹れてくれるスタッフが、お客様の雰囲気に合わせたカップを選んでくれるといいます。
どんなカップに入ってコーヒーが出てくるかはお楽しみ。
シーズンごとに少しずつ、置く調度品を変えているそうです。
次に行くときは、新しい何かを発見できるかもしれませんね。
コーヒー好きな愛煙家の居場所を守るため奔走
但馬屋珈琲店の本店は全席喫煙可です。
近年、世の中からたばこの吸える場所が減るなか、但馬屋珈琲店もその波に乗らざるを得ない状況を迎えていました。
コーヒーとたばこを楽しみに来るたくさんのお客様の居場所をなくさないよう、たばこの専門家や自治体などに相談して、現在も全席喫煙可で営業しています。
最高級・特級品のコーヒー豆を自家焙煎
但馬屋珈琲店で楽しめるたくさんのコーヒーのなかで、まずオーダーしたいのは特選オリジナルブレンドです。
ブラジルやコロンビアなど、良質のコーヒーを生産するエリアから最高の豆を仕入れ。そして長年の経験に基づき、数種類の豆をどうブレンドするかを決めるそう。
それぞれの豆に最適な焙煎を施したあとブレンドし挽き、注文ごとに淹れます。
単一豆では出せないコーヒーの味
ブレンドコーヒーに使用する豆は全て最高品質のものを使っています。
それぞれの良さを引き出すだけでなく、その相乗効果でさらに味わい深いコーヒーに仕上がるからです。
シングルオリジンの良さを超えていく、ひとつの種類のコーヒー豆では出せない但馬屋珈琲店独自の最高のブレンド。ぜひ楽しみましょう。
歴史を感じさせる深煎り
但馬屋珈琲店の特選オリジナルブレンドは深煎り。ひと口飲むと、心地のよい深いコクと苦味が味わえます。
まずはブラックで、そしてブラウンシュガーや生クリームを入れて風味の変化を楽しんでも。
端麗な深煎りコーヒーは、どこか懐かしくもあるような…長年の歴史が作り上げた、多くの人の気持ちをとらえる味と香りのように感じました。
1杯あたり20g以上のコーヒー粉を使用
▼これで一杯分です
コーヒーを淹れるとき一杯あたりの粉の量は10g前後で、と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
但馬屋珈琲店ではその倍の20g以上でコーヒーを淹れています。濃厚な香りと味わいが楽しめる、ぜいたくなコーヒーです。
コーヒーに合うスイーツを追求
お店を訪ねたときはコーヒーと一緒にぜひ、スイーツも楽しんでください。
但馬屋珈琲店では長きにわたり、お店で出すコーヒーにもっとも合うスイーツを追求し続けて来ています。
スイーツ店や甘味処などと共同開発した、コーヒーのお供もあります。
ケーキやプリンに始まり今やどら焼き、ぜんざいなど和のお菓子も。
お好みのスイーツが、コーヒータイムを何倍も素敵なものにしてくれるでしょう。
コーヒーの味と香りの向こうに
今回、取材に応じてくれた常務の倉田光敏さんは「コーヒーや食事、デザートがおいしいのは当たり前で、私たちが目指しているのはその先なんです」と言います。
「喫茶店はコーヒーを飲むだけでなく、ぼーっとしたり、リラックスしたりすることで日常を忘れられるような、心への作用も兼ねている場所だと思っています。この但馬屋珈琲店は、お客様さんが心から憩える場所でありたいです」とも。
来た人がゆったりとお気に入りの一杯を楽しめる空間づくりにも、余念がありません。
但馬屋珈琲店のこれから
戦後の焼け野原で小さな洋品店からスタートした但馬屋珈琲店。昭和から平成、令和へと時を経て、さまざまな取り組みを続けてきたといいます。
百貨店や専門店へコーヒーを卸したり、オンラインショップを充実させたりすることで新しい道を模索しながら、多くのファンに愛されるお店のさらなるバージョンアップを図るスタッフたち。
伝統のネルドリップコーヒーをまた楽しみに、飲みに行きましょう。
但馬屋珈琲店(本店)の店舗データ
店舗名 | 但馬屋珈琲店(本店) |
住所 | 東京都新宿区西新宿1-2-6 |
電話番号 | 03-3342-0881 |
営業時間 | 10:00~23:00 (ラストオーダー 22:30) |
定休日 | 元旦 |
Official Site | https://tajimaya-coffeeten.com/ |
公式SNS |
この記事を書いた人
編集部ライター
家で飲むコーヒーは基本ノンカフェインの決まった銘柄ですが、加入している生協に知らないコーヒーが出ていれば買うことも。
喫茶店やレストランでは、ガツンとカフェインの効いたのが嬉しいです。
出張や旅行などで遠方に行くと水が違うからか、何気なく立ち寄った店で飲んだコーヒーが思い出に残ることも少なくありません。