インタビュー

大阪・鶴橋の高尾珈琲のアットホームな焙煎所から届く、毎日飲みたいコーヒー

大阪・鶴橋の高尾珈琲のアットホームな焙煎所から届く、毎日飲みたいコーヒー

大阪・鶴橋で戦前から営業を続ける高尾珈琲。長年、卸売での営業を続けてきた老舗では近年、小売にも力を入れています。

ショップでの販売のほか通販も行い、長年の技術が培った確かな味わいと、企業努力によるお値打ちの価格設定で着実にファン層を拡大中。

アットホームなお店ならではの商品開発や小売の知恵をはじめ、今後の展望についても伺いました。

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sk

S.K

編集部ライター

ここ数年、朝のソイラテから一日が始まります。
そして朝ドラを見ながらブラックを1杯、仕事中は1〜2杯。
夜になるとコーヒー豆乳焼酎を一献というのが日々のコーヒールーティンです。

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高尾珈琲とは

高尾珈琲
出典:https://takaocoffee.co.jp/

高尾珈琲は大阪・鶴橋で昭和12年からコーヒーを輸入し、焙煎・販売を行うコーヒー店。

鶴橋がコリアタウンとして栄える前から、90年近くにわたり同じ場所で営業を続ける老舗企業です。コーヒーの焙煎・販売のほか、食品の卸業なども行なっています。

近年は通販や大規模スーパー、生協等に販路を広げ、コーヒー愛好家からお茶の間まで、ひろく親しまれています。

上質でありながら毎日飲める価格帯で、ファンの心をつかむ高尾珈琲のコーヒーとは。

ひつじの珈琲タイムでは四代目・高尾悠太郎さんにお話を聞きました。

食品卸とコーヒー豆の販売を兼務

高尾珈琲は約30名のスタッフで、年間およそ13億円を売り上げる優良企業です。

そのうちコーヒーの売上は3億円弱を占めるそう。「コーヒー以外では、飲料メーカーや食品メーカーなどの商品をスーパーマーケットに供給する卸売業を営んでいます」と、創業者の曾孫で常務取締役の高尾悠太郎さん。

余裕をもったスケジュールで卸売業を行う傍ら、コーヒー豆の在庫を調整し適宜、コーヒーの焙煎や梱包、発送に対応するという柔軟な業務体制を敷いているといいます。

アンティークのプロバット焙煎機でコーヒー豆をロースト

出典:https://www.instagram.com/takaocoffee/?hl=ja

現在、高尾珈琲で使っている焙煎機は50年以上前に製造されたアンティークのプロバット焙煎機です。

窯の厚みがあり蓄熱性に優れているということで、中古市場に出たものを買い上げて20年ほど使い続けているそう。

プロバット焙煎機は窯の温かさでゆっくりと、豆に熱が入ります。そのため失敗が少なく、浅煎りから深煎りまでおいしく仕上がるんだとか。

また焙煎後2、3週間、1ヶ月と経ったとき、香りが劣化しにくいのも魅力だそうです。

小売にはあまり力を入れてこなかったけれど

創業当初からしばらく、卸売業を営んでいたという高尾珈琲。

小売について「個人のお客様に喜んでもらおうというよりは、卸売りの価格で一応売りますよ、くらいの感覚でした。それを変えていこうと思って」と高尾悠太郎さん。

コーヒーそのものや飲み方を提案しながら、直接お客さんの顔を見て話す機会が作れたら、商品全体のレベルアップにつながるのではないかと考えたそう。

お店に来てくれるお客さんや、ホームページを見に来てくれるお客さんに対して「もっとこんなんありますよ!といった提案ができるようになればいいな、というのが小売を始めたきっかけです」とも。

毎月終盤にはセールを開催

出典:https://www.instagram.com/takaocoffee/?hl=ja

高尾珈琲では毎月終盤に2日間のセール期間を設け、割引販売を行なっています。

特別価格のコーヒーはどれも焙煎したて。焼きたてのコーヒーを特別価格で購入できるとあって、店頭・オンラインともに盛り上がるそう。

セール期間中を狙って、たくさんのコーヒーをゲットする高尾珈琲のファンも少なくないようです。

毎月のセール情報については公式インスタグラムで

>>高尾珈琲の公式インスタグラム

高尾珈琲の推しコーヒー

出典:https://takaocoffee.shop/

店頭はもちろんのこと、オンラインショップにもたくさんのコーヒーを取り揃えている高尾珈琲。

推しコーヒーを聞いてみたところ最近、好評を博しているという月替わりのコーヒーを紹介してくれました。

月替わりコーヒーは2年前に始めた企画だそう。デザインやブレンド内容などを含めて、スタッフ総勢で試飲をしながら毎月、どういうコーヒーにするかを決めているといいます。

11月の限定ブレンドコーヒー

出典:https://www.instagram.com/takaocoffee/?hl=ja

毎月の限定ブレンドは価格がおさえめで飽きが来にくいうえ雑みも少なく、飲みやすいスッキリしたコーヒーに仕上げているそう。

2023年11月の月替わりコーヒーは「秋の夜空を彩る星座のブレンド ORION BLEND -オリオンブレンド-」。やや深煎りで秋らしく仕上げたコーヒーは、インドネシア、ブラジル、コロンビアなどのブレンドです。

過去には、読書の秋にふさわしい「枕草子ブレンド (中煎り)と源氏物語ブレンド (中深煎り)のセット」や、昔懐かしい喫茶店のアイスコーヒーをイメージした「サマーブレンド」なども好評を博したそうです。

2杯目をおかわりしたくなる味と香り

ほどよい中深煎りで、心地いい飲み口の「オリオンブレンド」。1杯目を飲み終わったとき、もう少し飲みたいなと思わせる、後を引くおいしさでした。

毎月末にはセールを開催しているという高尾珈琲。セールは店頭のみならず、オンラインでも開催しています。

毎月チェックして、好みのコーヒーをお得に入手したいものですね。

セール情報は公式インスタグラムで>>

働きやすい職場づくり

高尾珈琲

パート社員を含め30名弱が働く高尾珈琲は、スタッフの大半が子育て世代だそう。

悠太郎さん曰く「最近はワークライフバランスを大事にしています。例えば子供さんが小さいと、当日の朝“今日、出社できません”ということも珍しくありませんよね。それを当たり前のことにして無理なく、みんなでカバーする形を取っています」。

従来は多かった残業も、じょじょに減らしているそう。

「まずは、従業員のワークライフバランスを整えることが大事かなと。働きがいのある、働きやすい会社で心に余裕をもって仕事に取り組むことが、もっとおいしいコーヒーを!というマインドに繋がるのではと考えて、いろいろな部分を整えている段階です」と。

スタッフの働きやすさを模索する四代目

高尾悠太郎さん

スタッフの急なお休みにできる体制を整えたり、残業を減らしたりといったワークライフバランスの実現に取り組んでいくと、徐々に売り上げもアップしたという高尾珈琲。家業を継ぐ前は銀行勤務だったという高尾悠太郎さんが現在、3代目の社長と共に現場の指揮を取っています。

銀行勤務時代は「当時、高尾珈琲の売り上げは今ほど好調でなく、家業を継がずに銀行に勤め続けたほうがいいのでは?と親にも言われていました」と。

プレイヤー側に回りたいと、銀行から高尾珈琲へ

出典:https://takaocoffee.co.jp/

コーヒーの奥深さや味・香りの多様さを多くの人に伝えたいと、高尾珈琲へ入社した悠太郎さん。

「コーヒーのおいしさ、楽しさを一人でも多くの人に伝えるというのがぼくのミッションかと思って。自分で四代目になる高尾珈琲は、やはり歴史のある会社。そこに生まれた以上は潰すわけにいかないということと、銀行員としていろいろな企業と接していて自分も商売をしてみたいと。朝晩飲める、親しめるようなコーヒーを作りたいと思いました」と。

価格と風味のバランスを追求した商品づくりをするとき、銀行員だったころにはなかった手応えを感じるといいます。

新しいコーヒーは「このコーヒー淹れたん誰や?」から

高尾珈琲の新しいコーヒーの試作方法はユニークです。

曰く「スタッフの誰かがコーヒーを淹れて、何気なく置いとくんですよね。これ淹れたん誰や?って探して、これ何?とコミュニケーションが始まります。適当に作ったブレンドで、これとこれと、これがこんだけ入ってる。なるほどこれ、次の月替わりに使えるんちゃう?とか、毎日そんなです」と、悠太郎さんは笑います。

「作ろう作ろうと思うと、ストレスになるかなと。日常で自分たちが飲みながら、このコーヒーうま!なんやこれ!そんな感じでやってます。その方が変なこだわりが入らずに、とっつきやすい味になるかなと思って。考えてみるとこうしたコミュニケーションは、高尾珈琲のコーヒーの大きな魅力かもしれないですね」と。

スタッフの意見をお客さんに伝えることも

出典:https://takaocoffee.co.jp/oem

他社ブランドの製品を作るOEMでの製造も請け負う高尾珈琲。

受託販売品は意向に沿った製品作りをしたうえで、スタッフたちの意見をお客さんに伝えることがあるそうです。

「前情報を言わずにスタッフに試飲してもらうと、思い込みのない感想が聞けます。例えばブルーマウンテンがたくさん入ってる、などと伝えずに試飲してもらうと先入観のない意見が聞けるんですよね。

“もう少しこういうコーヒー豆を使ったら、もっとおいしくなるかも”といった発想が得られることもあります」と。コーヒーのプロたちの意見は、OEMの商品開発にも大きく役立っているのですね。

大阪・鶴橋から世界へ

高尾珈琲
出典:https://takaocoffee.shop/

鶴と橋をイメージした、高尾珈琲のロゴ。

高尾珈琲が社屋を構える鶴橋は、鶴がたくさん集まっていたという言い伝えが地名の由来になったといいます。

現代の鶴橋は食の街。多くの焼肉店がしのぎを削っていたり、伊勢志摩から鮮魚列車で到着した新鮮な魚介が市場で売られていたりして、とても活気があります。

そうした環境で、品質に妥協することなく長年、営業を続けてきた高尾珈琲は地元のみならず、全国的な支持を集めています。

店頭で地域へ、ECサイトで全国へ。いかに気に入って飲み続けてもらうかということについて、今日も鶴橋のお店ではスタッフが皆でコーヒーを片手に、熱く語り合っています。

店名高尾珈琲株式会社
本社所在地大阪市天王寺区東上町2−4
電話番号06-6771-2265
Official Sitehttps://takaocoffee.co.jp/
公式SNSInstagram

※本記事は2023年11月時点の情報です。掲載情報は現状と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。

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S.K

編集部ライター

家で飲むコーヒーは基本ノンカフェインの決まった銘柄ですが、加入している生協に知らないコーヒーが出ていれば買うことも。
喫茶店やレストランでは、ガツンとカフェインの効いたのが嬉しいです。
出張や旅行などで遠方に行くと水が違うからか、何気なく立ち寄った店で飲んだコーヒーが思い出に残ることも少なくありません。

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