東京・国分寺のCafe Slowで、「ハチドリのひとしずく」というユニークな名前のコーヒーを飲みました。
ここではナチュラルテイストのかわいい店内ではオーガニックのフードやドリンクが楽しめるほか、有機栽培コーヒー生豆やオーガニック食材、手作りのお菓子などが買えますよ。
また編集部がCafe Slowさんを取材してわかったことは、ハンドドリップで淹れるおいしいコーヒーが育つ地は、今現在も環境破壊の危機にさらされ続けていることです。
一杯のコーヒーが、環境問題や食の安全などを考えるきっかけにもなりました。
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もくじ
2001年、東京都国分寺市にオープンしたCafe Slow
Cafe Slow(カフェスロー)のはじまりは、エクアドルのフェアトレードオーガニックコーヒーを提供する場を作りたいという人たちの集まりだったといいます。
環境=文化NGOナマケモノ倶楽部の有志メンバーでスタートし2022年現在、20年ほどの歴史があるお店です。
店長の山本勇樹さんは、ナマケモノ倶楽部の仲間と共に環境問題に取り組んでいた縁で、2016年にCafe Slowへ入社したそうです。
▼コーヒーだけでなく食事やスイーツも。
またお酒を提供しているほか、オーガニックの日用品・食料品を販売するスペースやギャラリーフロアなどがあり店内はとても賑やかです。
自身の持病がきっかけで、環境問題に興味をもったという店長の山本さん
先天的な持病のために、子どものころから頻繁にトイレへ行く必要があったという山本さん。
いつしかトイレに愛着を持ち始め、トイレ周りのいろいろなことを知りたいと思うようになったそうです。
大学生になるとNPO法人日本トイレ研究所(当時:日本トイレ協会)に学生会員として所属し、トイレを通して社会を良くしていくという志を持つように。
このころから排泄物を資源にできないかと考えはじめ、環境問題が自身のライフワークになっていったといいます。
Cafe Slowの有機無農薬コーヒー「ハチドリのひとしずく」
店長の山本さんをはじめCafe Slowのスタッフは地域の、ひいては社会全体の自然環境を今よりも良くしようとさまざまな取り組みを続けています。
無農薬や森林農法の食べ物、飲み物を提供することもそうした取り組みのひとつ。
なかでも、ハチドリのひとしずくという名前のコーヒーはCafe Slowの定番です。
ユニークなネーミングは、南米アンデス地方に伝わる寓話から。お店が目指すところに寓話の内容がぴったりだったので、その名を拝借したそう。
エクアドル産の豆をベースにメキシコの豆をブレンドした深煎りのコーヒーは、まろやかで優しい香りと風味のロングセラーです。
無理なく取り組めることからひとつずつ、の想いをコーヒーに込めて
Cafe Slowの定番コーヒー「ハチドリのひとしずく」のネーミング由来について、店長の山本さんは「“全てが良くなるわけじゃないけど、ひとりひとりができることから”という想いを込めています」と。
山火事のなか水場から小さなくちばしに水を含んで運び、火を消そうとがんばるハチドリが主人公の寓話・ハチドリのひとしずく。
なぜそうするのかという問いに、主人公のハチドリが「私は私にできることをしているだけ」と答えるくだりがあり、コーヒーを通してその心意気を伝えたいという想いを託したそうです。
生物多様性ホットスポットで、森のなかにコーヒーの苗木を植える森林農法
生物多様性ホットスポットとは、人の手がさまざまな生物の住処を奪いつつある地域のこと。
生物多様性ホットスポットの一部では、多様な農作物を育てることで先住生物たちが安心して住める環境を再び実現しようという取り組みが始まっています。
お店の定番コーヒー「ハチドリのひとしずく」はエクアドルの生物多様性ホットスポットで、森林農法と呼ばれる方法を用いて育てられています。
農場ではなく森の中で、ほかの植物と一緒にコーヒーの苗木を育てることで食物連鎖が保たれ、病害虫に強い作物が育つそう。
取り組みのかいあり、現在ではコーヒー作りに適した環境を維持できているとのことです。
店のコンセプトに合ったもののなかで、コーヒーのおいしさを追求
「Cafe Slowでコーヒーを飲むことが森林農法を知り、考えるきっかけになれば」と山本さんは言います。
店では生豆や豆を煎るための器具を販売したり、客席でコーヒーを淹れるイベントを開催したりと、コーヒーに親しむさまざまな取り組みを行なっています。
コーヒーの味や品質をはかるだけでなく、コーヒーを通してスローライフを楽しんでほしいとのこと。
お店でコーヒーの生豆を見かけて、自分で煎ったコーヒーを飲んでみたい…という気持ちになる人は少なくないようです。
コーヒーによくあう食事やスイーツも
▼11月のヴィーガンスロープレート。じゃがいもと里芋の青のりコロッケ、車麩フライカツがメインです。
Cafe Slowは20年の歴史のなかで、環境に配慮しながら皆が安心しておいしく食べられる食事やスイーツの開発にも取り組んできました。
客席で食べている人が目立ったのは、ヴィーガンスロープレート。
こだわりの食材で目にも身体にも、心にもおいしいプレートは毎月、献立が変わります。
スイーツは旬のオーガニックフルーツを使ったヴィーガンパフェをはじめ、森林農法のコーヒーが香るソフトクリーム、素材を厳選した自家製焼き菓子などが人気です。
ドリンクもコーヒーのほか紅茶やワイン、ビール、甘酒など種類を多く取り揃えています。
コーヒーから社会のこと、地球のことを考えるきっかけになる場所でありたい
世界のコーヒー栽培は、環境に負荷がかかる農薬を使って行われるのが主流です。
この現状に対してCafe Slowは、コーヒーそのものが環境に負荷を与えるようなことをできる限りなくしたいと考えています。
オーガニックやフェアトレードで作られたコーヒーなどを提供するだけでなく、森林農法で森を守る活動を積極的に行っています。
コーヒーを消費する国として、そういう部分を大事にしていきたい--Cafe Slowはそんな思いをもちながら、今日も環境に配慮したおいしいコーヒーや料理、スイーツで訪れる人をもてなしています。
Cafe Slowの店舗データ
店舗名 | Cafe Slow(カフェスロー) |
住所 | 東京都国分寺市東元町2-20-10 |
電話番号 | 042-401-8505 |
営業時間 | 11:30〜18:00(変動あり。詳細はホームページでご確認ください) |
定休日 | 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜日定休) |
駐車場 | あり(3台) |
Official Site | https://cafeslow.com/ |
公式SNS |
※本記事は2022年11月1日時点の情報です。掲載情報は現状と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※新型コロナウイルスをはじめとした感染症などの拡大防止のため、掲載情報に変更が生じることがあります。最新の情報は直接、お店へお問い合わせください。
※お店を訪問される際はマスク着用と手洗い、手指の消毒などを心がけ、感染拡大防止にご配慮いただきますようお願いします。
※文中の写真には撮影のため、お店の方にマスクを取っていただいているものがあります。
この記事を書いた人
編集部ライター
家で飲むコーヒーは基本ノンカフェインの決まった銘柄ですが、加入している生協に知らないコーヒーが出ていれば買うことも。
喫茶店やレストランでは、ガツンとカフェインの効いたのが嬉しいです。
出張や旅行などで遠方に行くと水が違うからか、何気なく立ち寄った店で飲んだコーヒーが思い出に残ることも少なくありません。