コーヒーコラム

【糖尿病専門医監修】コーヒーには糖尿病の予防効果がある?

【糖尿病専門医監修】コーヒーの糖尿病予防効果について

最近の多くの研究によって、コーヒーを飲まない人に比べて、コーヒーを毎日飲む人のほうが糖尿病になりにくいことが報告されています。

コーヒーに含まれるポリフェノールなどの成分が、血糖値を下げるインスリンの効果を高めることが原因ではないか?と考えられています。

ですが、実際にそのメカニズムについては十分に解明されていません。

「コーヒーは糖尿病を予防するか?」と「すでに糖尿病になった人がコーヒーを飲んだほうが体にいいか?」は別の問題ですが、今回は「コーヒーは糖尿病を予防するか?」について、詳しく解説していきます。

この記事を監修した人

ogawashou

小森田 祐二

医学博士・総合内科専門医・糖尿病専門医

九州大学医学部卒業。福岡赤十字病院、九州大学病院、嘉麻赤十字病院などを経て、2020年に九州大学大学院医学研究院 特任助教に就任。
専門は総合内科・糖尿病・代謝・予防医学。

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そもそも糖尿病とは

ご飯を食べると血液中のブドウ糖が増えますが、健康な人はすぐに膵臓からインスリンというホルモンが出てきて、血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪に取込むために血糖値が上がりません。

糖尿病は、このインスリンが不足したり、インスリンの効きが悪くなったりして血糖値が上昇する病気です。

「1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の糖尿病」の4つに分類されますが、2型糖尿病が約90%と大部分を占めています。

糖尿病患者は50年間で約40倍に増加

厚生労働省が2016年に行った国民健康栄養調査では、日本における糖尿病患者は1,000万人、糖尿病予備軍は1,000万人で、両者を合わせると2,000万人もいることが明らかになりました。

この50年間で約40倍に増加しています。

よく「うちは糖尿病家系じゃないから大丈夫」という言葉を耳にします。

確かに糖尿病に「なりやすいかどうか」は遺伝します。

しかし、糖尿病を発症するかどうかは、「肥満、運動不足、野菜不足、脂質過剰、ストレス、不規則な睡眠、アルコール」など、遺伝子以外の要素が大きく関係します。

実際に糖尿病の外来をしていると、最近は「家族に糖尿病がいないのに健康診断で血糖値が高いと言われた」という患者さんが非常に増えてきています。

糖尿病になるとどうなるのか

糖尿病による合併症

血糖値が高いままでいると、血管が傷ついたり詰まったりして血流が滞り、全身の色々な場所で臓器障害(合併症)が起こります。

尿をつくる腎臓の血管が詰まれば、腎不全から人工透析(透析導入原因の第1位)が必要になります。

眼の奥にある網膜の血管が詰まれば、糖尿病網膜症から失明し(失明原因の第3位)、脳の血管が詰まる脳梗塞、心臓の血管が詰まる心筋梗塞も糖尿病が原因で起こります。

最近は20代、30代で糖尿病を発症する患者さんも多く、これらの合併症は命を脅かすだけでなく、仕事や趣味、家族、日常生活に、何十年間も影響します。

合併症を起こさないためには、血糖値を下げる治療を続けることが必要

インスリン自己注射や様々な新薬が発売されてはいますが、未だ特効薬はなく、糖尿病の治療の基本はあくまで食事療法になります

2型糖尿病を発症した時点で、既に膵臓の余力は半分以下に落ちていることが分かっており、大部分の糖尿病患者さんは食べる量・時間を制限せざるを得ません。

40歳、60歳、80歳になっても、好きなものを好きなときに食べられる体であるためには、やはり糖尿病にならないこと(予防)が大事です。

コーヒーの糖尿病予防効果について

コーヒーがもつ健康増進効果とは

30年ほど前は、コーヒーは体に害があるイメージのほうが強かったと思います。

おそらく、コーヒーを飲む人はタバコ好きだったり、砂糖たっぷりの缶コーヒーが多かったり、徹夜仕事の眠気覚ましに飲んだりしたことで、不健康なイメージを作り挙げたのだと思いますが、医学的根拠は乏しいです。

2000年代になると、コーヒーが健康に与える影響についての研究が進み、コーヒーに含まれるポリフェノールに抗酸化作用があること、カフェインに代謝促進作用、炎症予防効果があることなどが分かってきました。

実際に、コーヒーには様々な病気の予防効果があるという研究結果も、国内外から次々に発表されています。

コーヒーを飲む人は肝臓病、痛風、がん、認知症になりにくいことも報告され、さらに健康増進効果が期待されています。

コーヒーと糖尿病予防

飲む

2002年に、LANCETという世界で最も権威のある医学雑誌に、コーヒーと糖尿病の関連を調べた最初の研究結果が発表されました。

1万7,000人のオランダ人を約7年調査した結果、コーヒーを1日2杯以下しか飲まない人に比べて、5~6杯飲む人は27%、7杯以上飲む人は50%、糖尿病を発症するリスクが低下していました。

ただし、これはコーヒーを飲む量がもともと多いオランダ人のデータなので、日本人のデータも重要です。

2010年に国立国際医療研究センターが行った研究によると、コーヒーをほとんど飲まない人に比べて、コーヒーを1日3杯以上飲む人では、男性で17%、女性で38%、糖尿病を発症するリスクが低下していました。

その後も世界中で合計27のグループが、コーヒーと糖尿病に関する研究結果を発表しました。

全て統合して解析すると、コーヒーをよく飲む人(研究によって3杯以上~5杯以上と定義は様々ですが)は約30%、糖尿病発症リスクが低いという結果でした。

なぜコーヒーに糖尿病予防効果があるのか

カフェインに脂肪燃焼効果・代謝促進作用、炎症予防効果があるため、インスリンの効きを改善することで血糖値の上昇を抑えている可能性もあります。

しかし、先ほど紹介した研究では、コーヒーの糖尿病予防効果は通常のコーヒーでもデカフェのコーヒーでも同様であり、カフェイン以外のメカニズムがあると考えられます。

クロロゲン酸は、コーヒーに含まれるポリフェノールで、強い抗酸化作用や抗炎症作用を持つ成分であることが分かっています。

実際に糖尿病予備軍のヒト15人にクロロゲン酸を3ヶ月間飲んでもらうと、飲まなかった人に比べてインスリン感受性が改善し、血糖が低下しました。

ちなみに、クロロゲン酸は深煎りより浅煎りのほうが多く含まれます。

また、コーヒーは、その成分以外にも、香りを楽しんだり、一息ついたりするというリラックス効果があります。

これは私個人の推測ですが、ストレスは糖尿病の重要なリスク因子となりますので、コーヒーによってストレスを緩和することで、糖尿病を予防する可能性もあると思います。

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コーヒーを飲むときの注意点

飲む コーヒー

これまでコーヒーのいい話だけしてきましたが、注意して欲しい点もあります。

砂糖の取り過ぎに注意

上記の研究は、ほとんどがブラックコーヒーでの話なので、糖尿病予防目的にコーヒーを飲む場合はブラックで飲むことをお勧めします。

甘いラテや缶コーヒーには大量の砂糖や脂質が使われているので、たくさん飲むと糖尿病にはなりやすくなります。

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カフェインの取り過ぎに注意

カフェインを大量に摂った場合も、吐き気、めまい、不眠などの症状が出る可能性があります。

カフェインの代謝速度は個人差があるので(お酒のように)、明確な基準はありませんが、これらの症状に思い当たる方がいればコーヒーを控えるか、あるいはデカフェをお勧めします。

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子ども・妊婦さんは注意

上記の報告は、全て成人を対象とした研究結果です。

小児でのメリットは不明ですが、カフェインは常用性があるため、デメリットのほうが大きい可能性があります。

また妊婦さんも多くて1~2杯程度までと推奨されています。

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持病がある方

不調

これまでのお話は、糖尿病の予防についてです。

すでに糖尿病や、腎臓病、高血圧、高脂血症、心臓病がある方は、コーヒーが悪影響を及ぼす可能性もあるので、必ず主治医や栄養士の先生に相談して下さい。

まとめ

コーヒーの中のポリフェノールが血糖値の上昇が抑え、糖尿病予防効果があります。

ただし、砂糖の摂り過ぎは逆効果です。

また、カフェインの代謝は個人差があるため、コーヒーの適量は人によって異なります。

特に、すでに持病がある人、妊娠中の方は注意が必要です。

浅煎り深煎りレギュラーインスタントなどの違いで、ポリフェノール量が異なるという報告もあります。

ただ、もともとポリフェノールの目標摂取量などはありませんので、どうか一番好きな飲み方でコーヒーを楽しんで下さい。

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この記事を監修した人

小森田 祐二

小森田 祐二

医学博士・総合内科専門医・糖尿病専門医

九州大学医学部卒業。福岡赤十字病院、九州大学病院、嘉麻赤十字病院などを経て、2020年に九州大学大学院医学研究院 特任助教に就任。
専門は総合内科・糖尿病・代謝・予防医学。
主要研究分野は、疫学・糖尿病・コーヒー・フレイルなど。

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