ひと目でわかるくらい大きなサイズの実と豆が特徴的なパカマラ種。
しっかりとしたコクと甘み、酸味があって風味がよく、スペシャルティコーヒーとして販売されるほど高品質な豆で、世界中で愛されています。
実は、エルサルバドルで長年の研究の末に生まれた人工交配品種なんです。
そんなパカマラ種の特徴と歴史についてご紹介します。
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もくじ
コーヒー豆のパカマラ種とは
パカマラ種はアラビカ種の一種で、他の品種よりも実と豆がとても大きいのが特徴です。
エルサルバドルなど、ラテンアメリカを中心に生産されています。
標高が高く、コーヒーの栽培に適した環境で育った豆は、コクや酸味、甘みがあり、ゲイシャ種のような華やかな香りも。
生産量が少なく希少ですが、COE(豆の品評会)でも常に上位入りし、スペシャルティコーヒーとしても売られるほど、確かな品質を誇ります。
[関連]【専門家監修】コーヒー豆にはどんな品種がある?3大原種と産地の違い
アラビカ種に属するコーヒー品種
コーヒー豆はアラビカ種とロブスタ種、リベリカ種の大きく3つにわかれますが、パカマラ種はアラビカ種に属します。
アラビカ種には約200種類もの豆があり、品質のよさで定評があります。
一方で、さび病などの病害に弱く育てるのが難しいという欠点もあります。
パカマラ種もまた、生産が難しく希少な品種となっています。
[関連]アラビカ種のコーヒー豆の特徴と品種について解説します。
パーカス種とマラゴジッペ種を人工交配で掛け合わせた
パカマラ種は、ブルボン種の突然変異種であるパーカス種と、ティピカ種の突然変異であるマラゴジッペ種という2つの品種を人工的にかけ合わせたものです。
名前もそれぞれの品種の2文字「パカ」と「マラ」から取っています。
パーカス種の特徴を継いで低木なため収穫などの作業がしやすく、マラゴジッペの特徴を継いで実が大粒で風味が良いです。
コーヒー豆のパカマラ種の歴史
パカマラ種はエルサルバドルの国立コーヒー研究所で、20年以上にもわたる長年の研究の末に生まれました。
土地が狭いエルサルバドルでもなるべく多く植樹できて収穫量が安定するような品種を作ろうという狙いがあったのです。
その試みは見事成功。研究員の情熱と地道な努力によって、人工交配種のパカマラ種が誕生しました。
1958年にエルサルバドル国立コーヒー研究所が研究を開始
パカマラ種の研究は、1958年にエルサルバドルの国立コーヒー研究所で始まりました。
ここはコーヒー研究でも世界最高の水準で、25年もの長い間開発に取り組み、ようやく生まれたものです。
パーカス種とマラゴジッペ種の2つを人工受粉させ、実から収穫した種を栽培していく作業を行っていきました。
現在美味しいパカマラ種が味わえるのは、生産者の方はもちろん、研究者の方たちの情熱と努力があってこそなんですね。
土地が狭くても収穫量の多いパカマラ種が誕生
パカマラ種は、矮小種と呼ばれるパーカス種の特徴を受け継いで成長しても低木なため、生産者の負担が少なく作業がしやすいので収穫量が安定しています。
元々国土の狭いエルサルバドルで、小さな土地でもできるだけ多く栽培できるものをと開発した品種なので、それを叶えたといえるでしょう。
ただ、さび病に弱いというマラゴジッペの弱点も引き継いでいて、生産量そのものが少ないため希少なコーヒーとなっているのです。
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コーヒー豆のパカマラ種の特徴
パカマラ種は、実と豆が他の品種と比べて非常に大きく、見た目のインパクトも大です。
ただ大きいだけはなく、風味も格別です。
反対に樹木は小さく、生産者にとっては世話しやすく収穫が楽という面もあります。
病害虫には弱いので、栽培が難しく大量生産はできません。
交配の元となった品種の特徴を、良い面も悪い面も両方受け継いでいるのです。
コーヒー豆がとても大きい
パカマラ種の一番の特徴は、何と言ってもその大きさでしょう。
元になった品種・マラゴジッペ種の特徴を受け継いでいるため、実であるコーヒーチェリーも、中の豆も非常に大粒です。
迫力はありますが、そのため大味なのではないかと印象を受ける方もいることでしょう。
マラゴジッペ種は大粒でありながら風味の良い豆で、そこもちゃんと引き継いでいるので、すごいのは見た目だけではないのです。
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小型な樹木で生産はしやすくなった
実と豆は大きいですが、それとは対象的に樹木が小さいのがパカマラ種の特徴です。
これは元となった品種・パーカス種の特徴を受け継いでいます。
もう一方の元品種マラゴジッペ種は樹木の背が高く、世話と収穫が大変という欠点がありました。
そこを補うべく、背が低く収穫しやすい、すなわち収穫量の多いパーカス種をかけ合わせたのです。
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ただし、病害虫に対する耐性は低いまま
収穫しやすいのでさぞかし大量生産できるのではと思いますが、病虫害に弱く栽培が難しいという欠点もあるので、そうそう上手くはいきません。
元品種のマラゴジッペ種はさび病に弱く、パカマラ種もそこを引き継いでしまいました。
パーカス種とマラゴジッペ種、2品種の長所をそれぞれ受け継いで生まれた品種ではありますが、短所も継いでいるので、栽培が難しいのです。
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コーヒー豆のパカマラ種の主な生産国
パカマラ種の主な生産国といえば、生まれ故郷であるエルサルバドルが代表的です。
他にもその周辺国であるホンジュラス、グァテマラ、ニカラグアなどでも生産されています。
このあたりは高地が多く、土壌や気候なども含め、豆栽培に恵まれた環境が広がっているのです。
そのため、パカマラ種以外でもコーヒーそのものの生産がさかんなコーヒーベルトに位置する国が多くみられます。
エルサルバドル
パカマラ種の代表的な生産地といえば、やはり生まれた国でもあるエルサルバドルでしょう。
約2.1万kmととても小さな国ですが、狭い国土でも安定した収穫ができるようにと研究の末生まれた品種です。
高地も多く、土壌や気候などコーヒー栽培に適した様々な条件が揃っているので、パカマラ種以外にも高品質な豆の産地として有名です。
ここで採れるコーヒーは、まろやかで甘みがあるのが特徴です。
ホンジュラス
ホンジュラスは国土の30%以上は標高1,000mを超える山岳地帯や高原です。
パカマラ種は標高の高い土地で育てるのに適しているため、恵まれた環境のもと栽培できるのです。
その他の品種もほぼ高地で育てられており、高品質な豆を生産するコーヒー大国でもあります。
ホンジュラス産のコーヒーは軽い口当たりで、ほどよい酸味と甘みが特徴です。
グァテマラ
国土の70%が標高の高い山岳地帯で、日中と夜の寒暖差も激しい環境。
火山灰土壌であることなど、質の良いコーヒーができる条件が揃っています。
コーヒーの木を直射日光から守ってくれるシェードツリーと呼ばれる背の高い樹木を周りに植えることで、成長を促す工夫もしています。
グァテマラのコーヒーは、フルーティーさと酸味、華やかな香りが特徴です。
[関連]【専門家監修】シェードツリーとは?コーヒーの木を育てる上で必要な日陰樹について
ニカラグア
ホンジュラスやコスタリカの間にある小さな国で、主なコーヒー栽培は中部の山岳地帯で行われます。
ミネラルなどの栄養分が豊富な火山灰土壌で、熱帯地域ながら雨期に十分な降水量が得られることで、良いコーヒーが育ちます。
しっかりとした苦味や酸味がある一方、アラビカ種など品種によっては甘みが強く出るのが特徴です。
コーヒー豆のパカマラ種の味わい
パカマラ種は、コクがあってほのかな酸味、甘みなど、バランスの取れた味わいが特徴です。
あっさりとしていて軽く、すっきりとした後味があり、飲みやすいものが多いです。
産地によってはまろやかな口当たりのもの、濃厚なフルーツやチョコレートのような甘みを感じるものなど、個性や違いも感じられます。
それぞれ飲み比べて好みのパカマラコーヒーを見つけてみてください。
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グァテマラのフライハーネス地区にあるパンピンチン農園のパカマラ種。
フライハーネス地区は標高が高くミネラルが豊富な火山灰土壌が特徴で、伝統的な産地アンティグアに似た環境ですが、違いは豊富な降雨量。
これにより、アンティグアとはまたひと味違った個性の豆が出来上がります。
フルーティーな酸味とまろやかな甘みが特徴です。
▼商品情報
内容量 | 250g |
産地 | グァテマラ |
焙煎 | 独自焙煎 |
品種 | パカマラ種 |
農園 | パンピンチン農園 |
No.2 honu加藤珈琲店 エルサルバドルカップオブエクセレンス
honu加藤珈琲店
エルサルバドルカップオブエクセレンス
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生産国ごとにその年に採れた豆の中から、国際審査員による厳しい審査を通過した一握りの豆だけが授かる称号、カップオブエクセレンス。
エルサルバドル産として選ばれた希少な受賞豆を、加藤珈琲店が世界のコーヒー会社と競い落札したものです。
芳醇な香り、すっきりとした酸味とほのかな甘みが特徴で、バランスの良い味わいになっています。
▼商品情報
内容量 | 200g |
産地 | エルサルバドル |
焙煎 | 中煎り |
品種 | パカマラ種 |
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ホンジュラス セロ アズール
参考価格 2,970円
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タカムラ コーヒーロースターズは、世界中から厳選して仕入れたスペシャルティコーヒーのみを扱う専門店。
グレープフルーツやライムなど、柑橘系の爽やかさを感じるすっきりとした香りと味わい。
甘みが特徴のホンジュラス産ですが、これもフルーティーな甘みが強いので飲みやすくなっています。
濃厚な果実味と甘みが好きな方にはおすすめですよ。
▼商品情報
内容量 | 100g |
産地 | ホンジュラス |
焙煎 | 浅煎り |
品種 | パカマラ・アマリージョ |
農園 | セロ アズール |
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パカマラ種コーヒーのおすすめの飲み方と淹れ方
パカマラ種は、華やかな香りとフルーティーな酸味や甘みが特徴の豆です。
コクや苦味など、他の要素とのバランスも良いので、浅煎り~中煎りの焙煎が向いています。
淹れ方は、豆本来の個性が味わえるフレンチプレスが適しています。
適した煎り方と淹れ方をすることで、パカマラ種が持つ良さをより引き出すことができますよ。
浅煎りから中煎りがおすすめ
パカマラ種の持つフルーティーな酸味や甘味を引き出すには、浅煎りから中煎りの豆を選ぶことがおすすめです。
特に浅煎りは、豆本来の香りや果実感を表現するには最適です。
中煎りは、パカマラ種特有のバランスの良さを引き出してくれます。
コクや甘み、酸味、苦味などの様々な要素を、ほどよい加減で感じることができますよ。
[関連]【専門家監修】コーヒー豆の焙煎度合い(ロースト)は何段階ある?味と特徴を解説
フレンチプレスで直接的な味わいを楽しむ
パカマラ種のおすすめの淹れ方はフレンチプレスです。
フレンチプレスで淹れると、豆本来の味や個性がダイレクトに表現されます。
そのため、スペシャルティコーヒーなどの高品質な豆から淹れるには、適しているとされています。
パカマラ種は品評会などでも常連入賞するほどの品質の高さを誇る豆なので、ぜひフレンチプレスで淹れて味わってみてください。
[関連]【専門家監修】フレンチプレスの使い方から淹れ方やお手入れ方法を解説します!
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編集部ライター
喫茶店で飲む本格的なものはもちろん、自分で入れるインスタントやドリップ、自販機やコンビニのコーヒー、銭湯のコーヒー牛乳も大好き。
コーヒー味のお菓子も含め、あのほろ苦い味と独特な香り、風味すべてが愛おしいです。
推しコーヒーはハワイのコナ。