コーヒーの果実(コーヒーチェリー)から種であるコーヒ豆を取り出して乾燥させ、さらにパーチメントと呼ばれる殻をむく脱穀作業までの工程が精製と呼ばれています。
数種類の方法がありますが、ここではウォッシュド精製(水洗式)についてご紹介します。
どのような特徴があり、また味わいに違いはあるのでしょうか。
精製について知れば、コーヒーがもっと味わい深くなりますよ。
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コーヒーのウォッシュド精製(水洗式)とは
ウォッシュド精製とは、コーヒー生豆の精製方法
コーヒーチェリーの果肉などを取り除き、豆の状態にすることを精製と呼びます。
ウォッシュド精製(水洗式)とはその名の通り、水で洗うことで不純物を取り除く方法。
水で洗い流した後は乾燥・脱穀させた後に生豆として出荷します。
発酵槽を使ったミューシレージ除去は、フリーウォッシュドと呼ばれることもあります。
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水でキレイに洗い流す精製方法のこと
コーヒーチェリーを水に浸け発酵させた後、さらに水で残った果肉や不純物を洗い流します。
水をたくさん使う方法のため、水源の豊富な地域で主に行われています。
コーヒー豆の精製において最もメジャーな方法であり、多くの国で採用されています。
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コーヒーのウォッシュド精製の特徴
水洗いで不純物を取り除ける
果肉除去や水洗いの工程の際、不純物や未成熟の豆などをかなり取り除くことが可能です。
乾燥後は見た目で判別が難しくなってしまうため、水洗いできる点が大きな特徴であり、メリットです。
不純物をしっかりと取り除けるということは、雑味が出づらい味わいになりやすいということでもあるのです。
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欠点豆が少なくなり、均一性が高くなる
不純物の混入や、不良豆が少なくなる製法のため均一度のある仕上がりに。
リスクが少ない方法でもあるため、安定して高品質の生豆を生産することができます。
多くの生産国で採り入れられる方法であり、その味わいは高く評価されています。
えぐみのないクリーンな味わいが特徴的
ウォッシュド精製で精製したコーヒー豆の味わいは、すっきりとしたクリーンな味わいが特徴です。
クセが少なく、洗練された風味のあるコーヒーに仕上がります。
さっぱりとした味、フルーティーとも評され、クリーンでクリアなさっぱりとした味わいも楽しめます。
一方で味がクリアーになりやすい分、野性味や発酵香などが失われやすく、「飲みやすいが個性に欠ける」という意見もあります。
お好みに応じて使い分けるのが理想でしょう。
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水源が少ない地域では利用できない
大量に水を使う精製方法のため、水源に乏しい地域では行うことができません。
しかし、中南米、カリブ海諸国、アジア、アフリカなどのコーヒー豆生産国の7割で採用されています。
一部の欠点豆を取り除くなど、かなりウォッシュド精製が優れているためですね。
排水による環境汚染が懸念されている
大量に水を使用する方法のため、汚水が環境汚染につながると言われています。
特に発酵槽処理の排水が多くの農園の頭を悩ませている問題に。
そのため、水の使用の在り方を問われているというデメリットを抱えた方法でもあります。
環境負荷を抑える、パルプドアンドデミューシレージドと呼ぶ機械処理の方法を採用するところも多くなってきています。
コーヒーのウォッシュド精製の手順
1. コーヒーチェリーの収穫
コーヒーの木に白い花が咲き、その花の分だけ実がつきます。
コーヒーチェリーは約半年かけて成長しますが、成熟期を迎えると収穫がはじまります。
大規模農園などは機械で一斉に行い、1つひとつ手摘みで行われると小規模なところもあります。
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2. 果肉除去
収穫したコーヒーチェリーを貯水槽に入れて、まずは比重選別によって浮いてきた実を取り除きます。(腐食した豆などは水に浮きやすいため)
パルパーと呼ばれる、果肉を取り除く機械などを使用して除去をするという工程を行います。
3. ミューシレージ除去のための水洗い
果肉部分を除去したコーヒーチェリーを、発酵槽へ浸けておきます。半日から1日ほど。
ミューシレージと呼ばれる粘液部分(種の周りのぬるぬるとした成分)を取り除きやすくした上で、水洗いします。
大量の水を使って、残ったミューシレージや果肉を洗い流していきます。
この工程がウォッシュド精製(水洗式)の最も大きな特徴であり、他の方法と大きく異なる点です。
4. 乾燥
水で洗った豆を乾燥させていきます。時間はかかりますが低コストな天日干し。
そして短時間で乾燥可能ですが機械のコストがかかる方法に分かれます。
生産地の経済的理由や、気候条件に合わせてどちらか、あるいは併用されています。
5. 脱穀
パーチメント(内可皮)と呼ばれるものがついたまま乾燥されているため、これを取り除く脱穀作業が必要になります。
機械などで脱穀し一気に生豆の状態へ仕上げていきます。
6. 生豆
生豆の状態になったら、選別作業が行われます。
選別は重さによって分けられます。これは比重の重いものが良質のコーヒーとされるため。
その後、袋詰めをされ出荷されていきます。
コーヒーのウォッシュド精製が有名な国
グァテマラ
Coffee Soldier (コーヒーソルジャー)
グァテマラ フロレンシア農園
参考価格 1,700円
中南米を代表するコーヒー生産国であるグァテマラ。ウォッシュド精製(水洗式)がほとんどです。
乾燥させる際は、コンクリート・タイル・レンガなど天日で行われることが多くなっています。
総じてグァテマラのコーヒーは複雑な味わい、上品な香りが特徴。
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コロンビア
フルーティーな酸味やまろやかな味わいが特徴的なコロンビアのコーヒー。
コロンビアでもウォッシュド精製(水洗式)が多く採り入れられています。
コーヒー栽培に適した環境で、雨が多く水源が豊富な地域です。
ケニア
TAILORED CAFE(テイラードカフェ)
ケニア マガンジョAA
参考価格 1,039円
ケニアのコーヒーは酸味が明るく、クリーンな味わいが特徴。
ウォッシュド精製の1種でもある、ケニア式のダブルウォッシュドと呼ばれる方法が多く採用されています。
発酵後にさらにきれいな水に浸けこみ、その後さらに水洗いをするという方法。現在ケニアだけでなく、その他の国でも行われています。
タンザニア
東アフリカに位置しているタンザニアは、広大な自然の大地を有する国のひとつです。
タンザニアで有名なキリマンジャロコーヒーの精製方法はほとんどがウォッシュド精製。
キリマンジャロ山脈の豊かな土壌とビクトリア湖によるキレイな水で洗うことで、柑橘系のフルーティーな香りと味わいを楽しめます。
その他のコーヒー精製方法
ナチュラル精製(非水洗式)
コーヒーチェリーを収穫後、そのまま乾燥させることが大きな特徴。
果実をつけたまま乾燥するので独特の甘みや風味が豆に染み込みます。
果肉を除去、脱穀後は他の精製方法と同じく生豆として出荷されます。
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ハニープロセス(パルプドナチュラル、半水洗式)
果肉を除去する際、ミューシレージと呼ばれる粘液質を残したまま乾燥します。
それにより深い甘さが感じられる味わいに。ハニーの名の通り、ハチミツのような甘さです。
ウォッシュドの良さと、ナチュラルの良さどちらも兼ね備えた方法としても近年注目されています。
[関連]【専門家監修】コーヒーのハニープロセス(パルプドナチュラル、半水洗式)とは?特徴や味わい、精製手順について
スマトラ式
インドネシアのスマトラ島で古くから行われてきた方法です。
予備乾燥、本乾燥と2度の乾燥を行うという点が特徴的。雨の多いスマトラ島で独自に発展してきた精製です。
生豆が独特な深緑色になる点、ハーブのようなエキゾチックな香味が感じられる点が特徴です。
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この記事を監修した人
DONABE-COFFEE 店主
独自の「土鍋焙煎」を確立すべく、2013年10月に沖縄県名護市にコーヒー豆屋をOPEN。自家農園でのコーヒー栽培にも着手し、少量ながら毎年収穫に成功している。2021年「COFFEE SYMPHONY~コーヒーの自給自足を目指す人へ~」(つむぎ書房)を出版。
この記事を書いた人
編集部ライター・営業
コーヒーフレーバーのお菓子は見かけたら必ず買ってしまうほど大好きです。コーヒー好きの両親の影響で、中学生からドリップしていました。カフェや喫茶店はもちろんですが、子どもがいるため自宅でゆっくりとコーヒーを楽しんでいます。