サードウェーブコーヒーという言葉をご存知でしょうか。
サードウェーブコーヒーについて、「なんとなく高級なコーヒー」というイメージだけを持っている人は少なくないでしょう。
広く認知はされていないものの、まったく流行っていないかと言えばそうでもなく、一部には熱烈なファンを持つ。サードウェーブコーヒーの日本での立ち位置はこんなところです。
本記事では、そんなコアなファンを持つサードウェーブコーヒーについて詳しく解説をしていきます。
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もくじ
サードウェーブコーヒー(第三の波)とは
サードウェーブを直訳すると第三の波。
アメリカにおけるコーヒーの変化を表し、この三度目の変化は2000年頃に始まりました。
サードウェーブコーヒーは、アメリカのコーヒー文化における三番目のトレンドを象徴するコーヒーです。
トレーサビリティを追求することで、コーヒーを単なる生活必需品から高品質な食品へユーザー価値を昇華。
“From Seed to Cup”(種からカップまで)の定義を持つスペシャルティコーヒーの考えと良く似ていて、実際にスペシャルティコーヒーの1つとしても捉えられています。
また、豆の品質や淹れ方まで、すべての工程にこだわることもサードウェーブコーヒーの特徴。
日本に到来したのは2015年。ブルーボトルコーヒーの上陸がきっかけです。
サードウェーブコーヒーの4つの特徴
ブレンドせずに単一の豆を使用するシングルオリジン
シングルオリジンは単一品種を表すものですが、ストレートコーヒーのように生産国や地域など大きなカテゴリで品種分けしたものではありません。
より細かく、農場・生産者で一銘柄として揃えたものがシングルオリジン。同一の生産国でも、農場ごとに土壌や気候条件は異なります。
その中で生産者は最適な方法で豆を育てるため、農園ごとの個性が生まれるのです。
ブレンドと比べたときに、シングルオリジンは豆ごとの個性をより純粋に味わえるのが特徴。
また、鮮度や品質も確認しやすいため、消費者は安心して安全なコーヒーを楽しめます。
シングルオリジンのコーヒーは、その優れたトレーサビリティから生産者の顔が見えるコーヒーとよく表現されます。
フルーティーな酸味を楽しむ浅煎りコーヒー
サードウェーブコーヒーは、浅煎りの豆を使うのが特徴。
コーヒー豆は大きく「浅煎り、中煎り、深煎り」に分けられ、焙煎度合いが浅いほど苦味が薄く、酸味のあるコーヒーになります。
高品質なシングルオリジンであるからこその浅煎りは、コーヒー豆本来の風味、フルーティーな酸味や甘みを味わえます。
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ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れる
一杯ずつゆっくりと丁寧にハンドドリップでコーヒーを淹れるスタイルは、サードウェーブコーヒーの重要なポイントです。
日本の喫茶店がまさにこのスタイルであるため、私たちにとっては比較的馴染み深い文化と言えるかもしれません。
サードウェーブコーヒーの代表格とされるブルーボトルコーヒーの創業者ジェームス・フリーマン氏も、ルーツは日本の喫茶店文化にあると語っています。
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生産者から直接買い付けを行うダイレクトトレード
これまでは、生産者からコーヒー会社に豆が届くまでにいくつかの仲介業者を通して仕入れを行っていました。
サードウェーブでは、ロースターがバイヤーとして生産地に足を運び、生産者から直接買い付けを行います。
ダイレクトトレードによって仲介業者に豆を買い叩かれることがなくなり、流通価格が生産コストを下回るなどの深刻な事態から生産者を守ることが可能です。
また、多くの場合に中小規模の農園は通常の取り引きでは大きな利益を得ることができません。
しかしダイレクトトレードでその農園における商品の価値が認められれば、取り引きを希望する人が増加します。
無名の農園でも、良い商品を提供すれば正当な評価を受けることができます。
アメリカのコーヒー文化におけるいくつかの変化
大量生産と大量消費のファーストウェーブ
アメリカにおけるコーヒー文化の最初の波は、19世紀後半から1960年代まで続きます。
流通の発達による輸送コストの低下や、真空パック技術により長期保存が可能になったことでコーヒーは市民に浸透。
この頃はとにかく生産性に重きを置いていて、味や品質にこだわることはほとんどなかったそう。
品質の悪い浅煎りの豆を粗挽きして、煮出した薄いコーヒーを飲んでいました。
また、ファーストウェーブを象徴とするのがインスタントコーヒー。
日本で広く認知はありませんが、インスタントコーヒーは日本人の加藤サトリ博士が発明したものです。
博士は特許を取得したものの製品の開発にはいたらず、その後ネスレ社が発売したものが大ヒットします。
シアトル系のコーヒーチェーンが人気を博したセカンドウェーブ
セカンドウェーブは、コーヒーの品質や美味しさへの追求が増した時代で、1970年頃から1990年代まで続きます。
ワシントン州シアトルを中心にアメリカ西海岸から発展した、いわゆる「シアトル系」のコーヒーが大流行。
それまでの浅煎りのコーヒーとは一線を画し、深煎りのエスプレッソをベースに、カフェラテなどミルクやフレーバーでアレンジした飲み方が生まれました。
またセカンドウェーブでは、コーヒーの飲み方だけではなく飲む場所にも変化が。
コーヒーをカフェで飲むのが主流になり、自宅でも職場でもない第3の居場所「サードプレイス」という概念が広まりました。
スターバックスやタリーズなどが、セカンドウェーブの象徴となる存在です。
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時代はサードウェーブコーヒーを自宅で味わうフォースウェーブへ
時代はすでにサードウェーブからフォースウェーブへ現在進行系で移行しています。
フォースウェーブの考え方は、サードウェーブの考えやストーリーをそのままに、コーヒーを自宅でじっくり味わおうというもの。
コロナ禍の影響でカフェの利用は減少傾向にありましたが、その分自宅でコーヒーを飲むケースは増加していました。
自家焙煎し豆から挽いて淹れるなど、コーヒーを淹れる過程までも楽しみの一環とし、これからさらに広がっていくカルチャーと見られています。
おすすめのサードウェーブコーヒー
カルディコーヒーファーム
カルディでは世界各国の豆を常時30種類以上取り揃えていて、サードウェーブコーヒーにあたる豆も定期的に販売しています。
主にシーズナブルコーヒーとして、その時期限定で販売されていることが多いです。
商品説明を見ると、シングルオリジンやスペシャルティコーヒーとして紹介されているため、すぐにわかりますよ。
季節ごとに特別な一杯を味わえるのは、次の季節を待つ楽しみにもなるのでおすすめです。
スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ
サードウェーブコーヒーの代表格として知られる、スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ。
生産農園から直接買い付けた、高品質な厳選豆をこだわりのプロセスで焙煎。もちろんインターネットで豆を購入することが可能です。
インターネットで購入すると、アメリカのポートランドから直送してもらえます。
国境を越えて届く特別な一杯をぜひ味わってみてください。
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ブルーボトルコーヒー
日本でのサードウェーブコーヒーの火付け役となったブルーボトルコーヒー。
2015年の日本1号店出店の際には、4時間待ちの行列ができるなど大きな話題をさらいました。
ブルーボトルコーヒーでは、グリーンビーンバイヤーが季節ごとに旬のコーヒーを吟味し、もっとも美味しいとされるコーヒー豆を世界中から買い付けます。
取り寄せた豆は、自社ロースタリーにてその個性を最大限に引き出すようにこだわって焙煎。
美味しさがもっとも際立つ期間に楽しめるよう、フレッシュな豆を焙煎所から配送してくれるのも嬉しいです。
たくさんのコーヒーファンから熱狂的に指示されるブルーボトルコーヒー。
「飲めばわかる違い」を体験してみてはいかがでしょう。
サードウェーブコーヒーの美味しい淹れ方・飲み方
① 92℃前後のお湯を用意
② ペーパーフィルターの底辺と側面を折る
③ ドリッパーにセットする
④ コーヒー粉を入れる
⑤ 少量のお湯で20秒~30秒蒸らす
⑥ 「の」の字を描くように一定量のお湯を数回に分けて注ぐ
⑦ 抽出終了
コーヒーを淹れる際は、92℃前後のお湯を用意しましょう。
92℃ほどのお湯で注ぐと、コーヒーが持つ特有の苦味、酸味、甘みなどが最も良いバランスで抽出できるようになります。
またドリッパーに粉を入れたら、最初に少量のお湯を粉全体に行き渡らせるように注いで、蒸らしを行いましょう。
蒸らすことで豆に含まれるガスがしっかり抜け、効率良く成分を抽出できるようになりますよ。
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豆は淹れる直前に挽く
コーヒーは豆を挽いた瞬間にもっとも香りが豊かになります。
コーヒー粉は豆に比べて空気に触れる面積が広くなるので、粉にしてから時間が経つと空気や湿気に触れて、劣化するスピードが早くなってしまいます。
そのため豆を挽くときは、淹れる直前に使う分だけ挽くようにしましょう。
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お湯の温度は92℃前後が目安
サードウェーブコーヒーを淹れる際に最適とされているのが92℃前後です。
浅煎り豆は焙煎がほとんど進んでおらず、より生豆に近い状態なので、成分が抽出しづらいのが特徴。
低い温度のお湯で淹れると成分があまり抽出されず、薄い味わいに仕上がってしまいます。
浅煎りのフルーティーな酸味を楽しむためにも、お湯の温度にも注意しましょう。
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コーヒー豆・粉は正しく保存する
コーヒー豆や粉を最後まで美味しく飲み続けるためには、正しく保存することが大切です。
開封前のコーヒー豆・粉は、パッケージのまま風通しの良い暗所へ保存するようにしましょう。
そして開封後は密閉容器に袋ごと入れるようにして、同じく風通しの良い暗所へ。
ただコーヒー粉はコーヒー豆よりも賞味期限が短いため、なるべく早く飲み切るようにしましょう。
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コーヒーの文化は今後も進化していく
アメリカのコーヒー文化の第三の波である、サードウェーブコーヒーについて解説しました。
日本のコーヒー文化は、スターバックスを代表とするシアトル系コーヒーチェーン店をはじめ、アメリカのコーヒー文化に強い影響を受けています。
日本ではまだまだセカンドウェーブが主流で、サードウェーブの理念は輸入されていますが大衆に浸透していません。
しかし本来コーヒーは、流行や文化などと無関係に自由に楽しむべきもの。
流行に流されるのも、流行を先取りするのも、はたまた時代を逆行するのもコーヒーの楽しみ方の1つですね。
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この記事を書いた人
編集部ライター
365日欠かさずコーヒーを飲んで過ごす編集部ライター。幼少から叔母の経営する喫茶店でよくコーヒーを飲んでいた。30歳を目前にしてようやくブラックコーヒーに目覚める。主に集中したいときにコーヒーを飲むが、休日に頭を空っぽにして飲むコーヒーこそ至高と考えている。