目覚め時や仕事の休憩、美味しい料理を堪能した後など、気付かない内にコーヒーを何杯も飲んでいる人は多いはず。
もしかしたら既にコーヒーやカフェインの沼にハマってしまっているかもしれません。
しかし「コーヒーのカフェインは取り過ぎに注意しなければならない」や「コーヒーは健康効果が期待できるので飲んだ方が良い」など色々な情報があり、どちらが正しいのか?と悩むことはありませんか?
そんな悩みを解消するために今回はコーヒーのメリット・デメリットをご紹介し、1日に何杯飲むのが良いのかお伝えします。
この記事を書いた人
バリスタ/コーヒーマイスター/フリーライター
学生時代コーヒーの魅力に魅せられ、短期大学卒業後はフリーターでバリスタをしながらコーヒーを勉強しています。コーヒーマイスターの資格を取得し、現在はコーヒーの知識や経験を活かすためにライターとしても活動しています。大事にしているのは、正当な取引がされたコーヒーを選んで生産者の支援に繋げることです。
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もくじ
コーヒーは1日何杯までが適量?
コーヒーを飲む量はカフェイン摂取量で判断するのが良い
美味しくコーヒーを飲むなら、カフェインが持つ中毒性には特に気を付けなければいけません。
日本でもカフェイン中毒による死亡事故も起きています。では、どの量までならコーヒーを飲んでいいのでしょうか?
海外ではカフェイン摂取量の推奨基準が設けられているので、そちらを参考基準にして判断してみましょう。
[関連]【専門家監修】コーヒーのカフェイン中毒とは?摂り過ぎによる症状と対処法
日本にはカフェイン摂取量の推奨目安がない
海外ではカフェイン摂取量の推奨目安が設けられていますが、実は日本にはそれがありません。
ですが、日本の食品安全委員会が海外の情報をまとめたデータを公表しているので、そちらを紹介します。
カフェイン摂取量の目安を設けているのは、WHO(世界保健機関)やEFSA(欧州食品安全機関)、カナダ保健省といった国際機関です。
これらの機関は、悪影響のないカフェインの最大摂取量の目安を年代別の子供や妊娠中、授乳中の女性などに振り分けて提示しています。
海外では200mg~400mgが摂取量の目安
国 | 1日の目安 |
---|---|
ヨーロッパ | 200mg |
オーストラリア | 210mg |
カナダ | 400mg |
アメリカ | 400mg |
欧州やオーストラリアは約200mg、カナダやアメリカではその倍に相当する400mgを上限としています。
この量はあくまでも健康な成人を基準に作られた目安であり、子供や妊娠中の女性は体に影響を受けやすいため、これよりカフェインの摂取量を減らす必要があります。
[関連]妊娠中はコーヒーの飲み方に注意!妊婦さんや子供への影響、摂取量の目安も
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コーヒーは1日3~5杯が推奨量
日本ではカフェインの摂取量の基準が設けられていないため、海外で定められている摂取量の目安内に抑える必要があります。
上記のデータを参考にしたカフェインの摂取目安は、健康な成人であれば約200~400mgです。
コーヒーカップ一杯に含まれるカフェインは約50~120mgなので、1日に3~5杯までにコーヒーを飲む量を抑えておけば、カフェインによる悪影響は心配なくて大丈夫でしょう。
[関連]コーヒー1杯のカフェイン量はどのくらい?摂取量目安やメリット・デメリットも解説
コーヒー摂取による7つの健康メリット
コーヒーを飲むと、私達の体に様々なメリットをもたらしてくれます。まずは代表的な7つを紹介します。
脳と体の覚醒作用
コーヒーを飲むと、眠気や疲労を感じにくくなる効果があります。
これはコーヒーに含まれるカフェインが、脳の中枢神経を刺激して興奮させるからです。
一般的には一杯で15~30分程度の仮眠を取ったのと同程度の効果が期待できます。
また、カフェインによって血管が収縮することで血圧や心拍数も上昇するため、単純計算の繰り返しなどの集中力が必要な時はコーヒーを飲むと良いです。
脂肪燃焼が高まりダイエット効果アリ
ダイエットをする時のサポート食品で、コーヒーがよく使われているのはなぜでしょうか?
私達の体には、内臓や血管などの働きをコントロールしている「交感神経」と「副交感神経」の2つの自律神経が備わっています。
交感神経は体重や脂肪量の調節をしたり、食欲を抑制し、脳からの指令を脂肪細胞へ伝達して脂肪を消費させる働きがあります。
コーヒーを飲むことで自律神経が刺激され、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が脂肪の蓄積を抑えるとされているため、ダイエットに良い影響を与えるのです。
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クロロゲン酸類が認知機能を向上させる
ダイエットに効果的と紹介したクロロゲン酸には、さらに認知機能を向上させる働きも持っています。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸はポリフェノールの一種であり、これは認知機能を向上させて注意力の低下を防ぐ効果が期待されます。
コーヒーを継続的に摂取している人は脳が活性化され、アルツハイマー型認知症になるリスクが低下したという研究結果もあるほど。
つまり、認知機能や注意力を維持させるには、継続的にコーヒーを飲み続けることが大事なのです。
糖尿病リスクが17%低下
「コーヒーをほとんど飲まない人」より「コーヒーを1日3~4杯飲む人」は、2型糖尿病発症のリスクが男性は17%低下、女性は38%低下します。
これは国立国際医療研究センターが、40~69歳の日本人約5万6,000人を対象とした「JPHC研究」を行った際に得られた結果です。
クロロゲン酸が炎症や酸化ストレス、糖尿病の原因となる糖新生を抑える働きを持っていることから、糖尿病予防に寄与しているのではないかと考えられています。
α波が増加しリラックス効果あり
α波とは落ち着いている時に人間の脳から出る脳波で、α波が出ることで心や体がリラックスし、ストレスを抑える効果があります。
コーヒーの香りは前頭葉を刺激する効果があり、特にブルーマウンテンコーヒーやグァテマラコーヒーの香りはα波を増加させ、リラックス効果をもたらしてくれます。
マンデリンコーヒーやハワイ・コナコーヒーにはα波があまり見られなかったことから、豆によってリラックス出来る度合が変わります。
老化やシミ、しわ、たるみ対策の効果に期待できる
コーヒーに含まれるクロロゲン酸には抗酸化作用があるので、活性酸素を抑制させる働きも備わっています。
活性酸素とは、普通の酸素よりも強い酸化力を持った酸素のことです。
傷や紫外線によって体内に活性酸素が過度に発生すると、脂質やタンパク質、DNAなどに影響し、様々な老化現象を引き起こします。
そのためコーヒーを飲み続けることで、抗酸化作用があるクロロゲン酸が体内に吸収され、老化やシミやしわ、たるみなどの対策の効果に期待できるのです。
死亡リスクが12%低下
アメリカの国立がん研究所などの研究チームが平均年齢57歳の男女約50万人を対象に、研究結果を発表しました。
コーヒーを普段から飲んでいる人は、コーヒーを飲まない人に比べて死亡リスクが低下することが分かっています。
▼死亡リスクの変化
1日に飲む量 | 死亡リスクの低下割合 |
---|---|
2~3杯 | 12% |
4~5杯 | 12% |
6~7杯 | 16% |
7杯以上 | 14% |
コーヒーを摂取すればするほど死亡率も低下するということではありません。
しかし、少なくとも毎日2~5杯摂取するだけで、死亡率を12%も低下させることが可能だということが分かります。
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コーヒー摂取する上で5つのデメリット
コーヒー摂取はメリットがある反面、取り過ぎるとデメリットも発生します。
コーヒーを飲む人は知っておきたい代表的なデメリットを5つ紹介します。
カフェインの過剰摂取によるカフェイン中毒
カフェインには軽い習慣性があることが知られていますが、あくまで軽度です。
多量のカフェインを常用している人が半日ほどカフェインを断ったとき、頭痛や倦怠感などの症状があるカフェイン禁断頭痛を引き起こすことがあります。
その場合、カフェインを再度摂取するか放っておけば症状が無くなるので、医学上は問題にならないレベルです。
ですがそれ以上にカフェイン摂取量が増えると、カフェイン中毒を起こします。
すると、「興奮、不安感、不眠」といった症状が現れ、最悪のケースでは死亡する場合もあるので摂取量には注意が必要です。
[関連]【専門家監修】コーヒーのカフェイン中毒とは?摂り過ぎによる症状と対処法
睡眠の妨げ
体内にカフェインが取り込まれると、約30分かけて脳に到達します。
すると、神経を落ち着かせて眠気を感じさせる働きがあるアデノシンが正常に代謝できなくなるのです。
そしてドーパミンやノルアドレナリンの分泌を促進させ、興奮や覚醒作用を引き起こし、それは約6時間前後続くといわれています。
そのため寝る前にコーヒーを飲むと脳が覚醒してしまい、寝つきが悪くなったり熟睡できなくなる可能性があります。
これを防ぐには就寝6時間以内にコーヒーなどのカフェインを摂取するのは控えましょう。
[関連]夜のコーヒーはNG?メリット・デメリットと正しい飲み方について
[関連]朝コーヒーはダメ?メリット・デメリットや適切な飲み方について
口臭と歯の黄ばみ
コーヒーはニンニクの臭いの消臭効果を持っている反面、コーヒー自体にも臭いがあり口臭の原因になります。
コーヒーは水分を体の外に出す働きがあり、唾液の分泌量を減少させます。
またコーヒーの酸味成分が口腔内のph(ペーハー)を酸性にすることで、口腔内の細菌が増え、口臭が強くなるのです。
さらにコーヒーによる黄ばみは、コーヒーの色が歯に付着しているからではありません。
コーヒーに含まれるタンニンが、歯に食べかすや食品の色素を付着しやすくしているのです。
そのためコーヒーが持つタンニンは黄ばみを定着させてしまいます。
[関連]【歯科医師監修】コーヒーで歯が着色する?原因と汚れを落とす方法
胃が荒れやすくなる
コーヒーは、食前ではなく食後に飲むのがおすすめです。
というのも、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やカフェインには胃液分泌促進作用があります。
これは一時的に胃酸の分泌を促し、消化を助ける働きがあるので、便通を訴える人も現れます。
ですが人によっては胃が空っぽの時に飲んだり、コーヒーの摂取量が多いと胃の粘膜を刺激し、荒れてしまうなんてケースも。
どの程度の摂取量でどのくらい自分の胃に影響が出るかは体質によって異なるので、違和感を覚えたら飲むのを控えた方が良いでしょう。
利尿作用がある
コーヒーを飲むとすぐにトイレに行きたくなる人も多いのではないでしょうか?
コーヒーに含まれるカフェインが利尿作用を起こし、他の飲み物に比べて、尿による水分排出が早くなったり、多くなったりします。
夏場は特に水分補給しようとしてコーヒーも水分だからと摂取してしまうと、返って脱水症状を引き起こしてしまう原因になります。
コーヒーを飲むときは水も一緒に取るようにしましょう。
コーヒーを飲む上でのカフェインに関する注意点
コーヒー以外にもカフェインが含まれる飲食物がある
飲み物 | カフェイン量 (100mlあたり) | 詳細 |
---|---|---|
紅茶 | 約30mg | 熱湯360mlを茶葉5gに加え90秒~240秒で浸出 |
コーラ飲料 | 約10~13mg | 栗原久:カフェインの科学.学会出版センターより |
煎茶 | 約20mg | 90度の湯430mlを茶10gに加え60秒で浸出 |
ウーロン茶 | 約20mg | 90℃の湯650mlを茶葉15gに加え30秒で浸出 |
玉露(緑茶) | 約160mg | 60℃の湯60mlを茶葉10gに加え150秒で浸出 |
エナジードリンク | 約32~300mg | 商品によって異なる |
カフェインが含まれているのはコーヒーだけではありません。
紅茶や緑茶、コーラなどの清涼飲料水にも含まれています。
これらのカフェイン含有量はコーヒーの半分ほどの量ですが、これらも含めて先程紹介したカフェイン摂取量の目安の範囲内に収めなければいけません。
特にエナジードリンクは、商品によっては缶一本でコーヒー1杯分に相当するカフェインが含まれているものもあるので気を付けましょう。
コーヒー以外のカフェインが含まれるものを摂取する際は、コーヒーを飲む量を減らす必要があります。
[関連]エナジードリンクとコーヒーのカフェイン量の違いを解説!
チョコレートにもカフェインが含まれている
チョコレートの種類 | グラム | カフェイン含有量 |
---|---|---|
カカオマスの多いミルクチョコレート | 25g | 7mg |
ハイカカオチョコレート (カカオマス70%) | 25g | 21mg |
ココアパウダー (脂肪23%) | 5g | 7mg |
カフェインは飲み物だけではなく、食べ物にも含まれています。
カカオマスとはカカオ豆を精製しペースト状にしたものをいい、チョコレートではこのカカオマスの割合によってカフェインの含有量が変わってきます。
チョコレートはコーヒーのお供として選ばれやすい食べ物なので、カフェインが気になる方は食べすぎないように注意しましょう。
カフェインに強い人、弱い人の個人差がある
アルコールと同じように、カフェインにも強い人と弱い人がいます。
また体質のほか、年齢や数時間以内に摂取したカフェインの体内残留量など、状況によってもカフェインの影響度は変化します。
一部の人には基準の目安以下でも問題になるケースもあるなど、個人差があるので1日3~5杯までなら全員が安全とは一概にはいえません。
とはいえコーヒーを飲む時は、自分の体調にあったカフェイン量をおすすめします。
1日3~5杯を目安に素敵なコーヒーライフを
コーヒーは1日3~5杯までなら比較的安全に楽しむことができることが分かりました。
目安の範囲内でコーヒーを摂取できれば、健康的で快適なコーヒーライフを送ることができますが、コーヒーを飲み過ぎるとカフェイン摂取量が増え、私達の体に害を及ぼします。
上手にカフェイン摂取量をコントロールして、いい影響だけ受けられるようにしましょう!
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この記事を書いた人
小野 青
バリスタ/コーヒーマイスター/フリーライター
学生時代コーヒーの魅力に魅せられ、短期大学卒業後はフリーターでバリスタをしながらコーヒーを勉強しています。コーヒーマイスターの資格を取得し、現在はコーヒーの知識や経験を活かすためにライターとしても活動しています。大事にしているのは、正当な取引がされたコーヒーを選んで生産者の支援に繋げることです。