コーヒーコラム

【専門家監修】ナチュラル精製(非水洗式)とは?特徴と精製手順

コーヒーのナチュラル精製(非水洗式)とは?特徴や味わい、精製手順について

いつも飲んでいるコーヒー豆。しかし、その前の工程である精製についてご存知の方はなかなかいないのではないでしょうか。

精製とはコーヒーの種を取り出して生豆の状態にすること。

今回ご紹介するコーヒーのナチュラル精製(非水洗式)は、中でも最もシンプルな方法と言われています。

この記事ではその特徴や味わい、精製の手順を詳しくご紹介します。

コーヒーの精製方法について知ると、コーヒーがさらに味わい深くなりますよ。

この記事を監修した人

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千葉 大樹

SCAJコーヒーマイスター

20歳の頃にある珈琲店と出会い、それまで興味関心がなかったコーヒーの世界にのめり込む。2022年4月〜スタッフ自らがリノベーション工事をして立ち上げた古民家カフェにて、自家焙煎コーヒーを提供し今に至る。

この記事を書いた人

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Yuko

編集部ライター

毎日のコーヒーはなくてはならないものである一児の母。自宅でのカフェタイムを充実させるため、コーヒーについて日々研究中です。

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コーヒーのナチュラル精製(非水洗式)とは

ナチュラル精製とは、コーヒー生豆の精製方法

ナチュラル製法

コーヒーチェリー(コーヒーの実)を収穫したのち、天日や機械で約15~30日ほど乾燥させます。

乾いたら果肉などを取り除き、脱穀し生豆の状態へ。

「すぐに脱穀せずに保管する」などの細かな違いはありますが、このような流れでコーヒーの生豆に仕上げられています。

コーヒー豆の精製方法の中ではもっともスタンダードで工程もシンプル、そして美味しいというメリットがあります。

ナチュラル精製は水を使用しない

コーヒーチェリー

コーヒーのナチュラル精製(非水洗式)は、水を使用しません。

果実を水に浸け発酵させてから、さらに水で洗い流すというウォッシュド精製とは大きく異なっています。

エチオピアイエメンなどの水源に乏しい地域ではじまったとされるナチュラル精製(非水洗式)。

気温が高く、日射しが強い地域ではとても理にかなった方法と言えます。

コーヒーのナチュラル精製の特徴

熟したフルーツのような味わいが楽しめる

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果実の甘みやフレーバーがしっかりとコーヒー豆に凝縮されるナチュラル精製(非水洗式)。

しっかりとした味わいになり、フルーティーな甘みが感じらます。酸味はやや抑えめ。

ワインのような味わい、と評されることもあるはっきりとした個性のある風味に仕上がります。

ブルーベリーやストロベリーのような味わいが強く感じられるものも。

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水源の少ない地域でも精製しやすい

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ナチュラル精製(非水洗式)は乾燥地域や水が確保しにくい地域で行われています。

コーヒーチェリーをそのまま乾燥させ脱穀する、という方法は水を使用する工程がないため水源の乏しいエチオピアなどの国々で発達してきました。

水の少ない地域にとってとても精製しやすい方法である、ということですね。

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余計な加工をしないことで豆の良さを知ることができる

カッピング

コーヒーチェリーをそのまま乾燥させることで、甘みや旨味が豆に染み込むナチュラル精製(非水洗式)という方法。

他の精製方法と比較して長い間果肉の成分や風味に影響を受け続けるため、その品種らしさ・味わいがしっかりと感じられます。

個性が際立つコーヒーを楽しむことができるのも魅力です。

コーヒーのナチュラル精製の手順

1. コーヒーチェリーの収穫

コーヒー豆

白い花が咲き、その花の数だけ実がなるコーヒーの木。

コーヒーチェリーは開花から約6~11か月(アラビカ種:6~8か月、カネフォラ種:9~11か月)かけて成熟し、収穫期を迎えます。

ひとつずつ手摘みで行われるところもあれば、大規模農園などは機械で一斉に行うこともあります。

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2. 天日乾燥

自然乾燥

アフリカンベッドと呼ばれる乾燥棚、パティオ(乾燥場)、ネットなどでの天日乾燥を行います。

また機械での乾燥も。方法や気候、天候にもよりますが数日から数週間かけて乾燥をさせます。

乾燥中はムラが出ないように撹拌(かくはん)したり、日射しが強すぎるときはかぶせものをします。

3. 果肉除去、脱穀

果肉除去

乾燥が進んでくるとコーヒーチェリーが赤色から紫などくすんだ色に。

この色の変化や水分値を見て引き上げ、一定期間倉庫などで保存します。

その後、ドライミルに運ばれ果肉の除去や脱穀、選別工程へと進みます。

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4. 生豆

生豆

脱穀後、さらに研磨をかける場合もあります。不純物や欠点豆を取り除いて生豆の状態へ。

乾燥中も選別をしながら、コーヒー生豆としての精度をあげていく必要があります。

ナチュラル精製とはいえど、この時点で芳醇な香りが楽しめるというわけではありませんが、ここから焙煎していくことでふわっと香りが出てきます。

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コーヒーのナチュラル精製が有名な国

ブラジル

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ブラジルは世界第1位のコーヒー生産国です。その大部分が非水洗式のアラビカ種となっています。

広大な土地でプランテーションされているため、水を使用することができません。

機械収穫がメインのため、状態の良いコーヒーチェリーのみを集めることが難しくなります。

ナチュラル精製(非水洗式)が多いブラジルですが、パルプトナチュラルという精製方法も広く採用されています。

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エチオピア

出典 :Coffee Soldier (コーヒーソルジャー)

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伝統的にナチュラル精製(非水洗式)が行われてきた国。

エチオピアのコーヒー豆こそ、ナチュラル精製で人気の高いコーヒー豆です。

現在でも多くのステーション(精製施設)で採用されています。

多くの場合、非水洗式で精製されますが、高品質な水洗式の産地としても広く知られています。

独特の香気やフルーティーな風味があるためファンが多く、また日本での取り扱いも多いコーヒー豆です。

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イエメン

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イエメンも伝統的な製法、品種が保持されている特殊な産地。

モカマタリという銘柄がもっとも有名ですが、品数は少なく出会える機会は多くありません。

イエメンで行われる、ナチュラル精製(非水洗式)は他では味わえない唯一無二の香味を放ちます。

厳しい国内情勢によって入手しづらい状況が続いていましたが、近年では高品質のものが届いています。

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単位面積当たりの収穫量では世界最高を誇ります。

2000年頃から小規模生産者が独自に水洗処理設備を所有し、生産処理にこだわった個性豊かなコーヒーを生産する、マイクロミル運動がスタート。

伝統的にはウォッシュド精製の産地ですが、近年では香味の多様さを追求するためナチュラル精製(非水洗式)を採り入れる生産者も増加しました。

生産される大部分は水洗式ですが、非水洗式の品質も高い評価を受けています。

標高の高いコスタリカの厳しい環境で育った豆は、甘みのつまった特別な味わいに仕上がります。

ハニープロセスも盛んに行われている国なので、甘酸っぱいコーヒーを求める方にはおすすめですよ。

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その他のコーヒー精製方法

ウォッシュド精製(水洗式)

ウォッシュド製法

ウォッシュド精製とは、水で洗うことで不純物を取り除く精製方法です。

チェリーの外皮及びその内側のパルプ質をはぎ取り、粘液質の付着した状態のパーチメントを発酵槽と呼ばれるタンクに入れて、8~48時間かけて発酵させます。

その後パーチメントコーヒーを乾燥させ、パーチメントを脱殻します。

一般的に、水洗式は非水洗式に比べ生産コストが高くなります。

すっきりとした味わいで、ほどよい酸味のある仕上がり。豆そのものの美味しさが引き立ちます。

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ハニープロセス(パルプドナチュラル、半水洗式)

ハニープロセス

ハニープロセスとはウォッシュドとナチュラルの良いとこどり、と言われる精製方法。

パルパーという機械にかけた後、ミューシレージ(粘液質)が付着したままのパーチメントを乾燥処理させるコーヒーです。

粘液質は洗い流さずに乾燥させることで、独特の甘みのあるコーヒーに仕上がります。

「ハニープロセス」の名の通り、ハチミツのような甘さと風味が感じられますよ。

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スマトラ式

スマトラ式

スマトラ式は、インドネシアのスマトラ島で伝統的に行われてきた精製方法。

予備乾燥、本乾燥と2度の乾燥を行うという点が特徴的です。

果肉除去でほとんど水を使用せず、果肉除去後5時間程度の乾燥で脱殻し生豆の状態で乾燥させます。

この方法は4~5日程度で生豆まで仕上げることができるため、雨の多い地域でいかに短時間で生産するかを考慮した方法です。

生豆が独特な深緑色になり、ハーブのようなエキゾチックな香味が感じられます。

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コーヒー豆を選ぶときには精製方法もチェック

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精製方法を知るとコーヒー豆選びのときにも基準がひとつ増えます。

このコーヒー豆はどんな味なのか?というのが精製方法ひとつ取ってみても理解できるからです。

品種や原産地はもちろん大事ですが、精製していく過程で味わいや香りが変わってくる点がコーヒーの良さ。

精製方法を理解して、新しいコーヒー豆に出会ってみてはいかがですか。

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この記事を監修した人

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千葉 大樹

SCAJコーヒーマイスター

20歳の頃にある珈琲店と出会い、それまで興味関心がなかったコーヒーの世界にのめり込む。2022年4月〜スタッフ自らがリノベーション工事をして立ち上げた古民家カフェにて、自家焙煎コーヒーを提供し今に至る。

この記事を書いた人

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Yuko

編集部ライター・営業

コーヒーフレーバーのお菓子は見かけたら必ず買ってしまうほど大好きです。コーヒー好きの両親の影響で、中学生からドリップしていました。カフェや喫茶店はもちろんですが、子どもがいるため自宅でゆっくりとコーヒーを楽しんでいます。

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